こんにちは。FMT整体の山田です。
60代の女性患者Mさん。坐骨神経痛の症状で、左のお尻から足までの痛みがあります。
お仕事では、しゃがんだり立ったりする動きが多いらしく、日常生活での動きにも支障が出てきている様子です。
坐骨神経痛の症状は筋肉の硬さによって起きていることが多く、神経の圧迫など、症状に関係している筋肉を柔らかくすることで改善がみられます。
Mさんも3回目の来院で、
「痛みを感じることが少なくなりました」との報告。
まだ違和感や痛みはあるものの、少しずつ変化している感覚に安心した表情を見せられました。
腰回りや脚の筋肉をはじめ、お体全体の筋肉の緊張も徐々に和らいできていることもお伝えしました。
すると、Mさんから、
「テニスボールでお尻のところをグリグリしてもいいですか?」と尋ねられました。
過去にやったことがあり、お家でも何か出来ることはないかと考えられたようです。
お気持ちは分かりますが、私からは
「今はオススメできません」とお伝えしました。
テニスボールを使ったケアの方法は、他の症状などでも一般的に紹介されていて、ポイントを絞って筋肉を緩めることに良い効果が出る場合もあると思います。
しかし、痛みなどがある場合は注意が必要です。
私たちの体は、刺激を受けると脳では気持ちいいと感じていても、「痛い」とか「違和感」として体自体が受け取ると、それを攻撃だと判断してしまいます。特に痛みがある患部は、筋肉の過緊張や神経の興奮があるため、強い刺激を与えると、もっと強くなって守ろううとして、緊張を強めてしまうのです。
例えば、「怖い!」と思ったり「痛い!」と感じたりすると、無意識にギュッと力を入れますよね。あれも防御反応のひとつで、筋肉を硬くしているのです。
ですので、Mさんのテニスボールを使ったケアも、それ自体が悪いということではなく、緊張が取れてきている筋肉がまた硬くなってしまう可能性があります。
こうしたケアの場合、患者さんにお伝えしている大切なことは、
やり方とやるタイミングです。
硬くなっている筋肉は、感覚に鈍くなっていることも多いので、痛いとか気持ちいいという判断が鈍ってしまい、どうしても「効く〜」というところまで強い刺激を与えてしまいがちです。
良かれと思ってやっていることも、症状によっては返って回復を邪魔してしまうことにもつながるので、まずは自分の体の感覚に敏感になり、「気持ちいい」とか、「心地いい」ということがちゃんと分かる状態に戻すことを優先にすべきなのです。
Mさんには、こうしたことをお伝えして、症状の段階に合わせて、こちらから有効なケアの方法をお伝えしていくことをお話ししました。
帰り際、Mさんは、
「今日、駅で電車に乗る時に小走りができていました」
と、思い出してうれしそうに話してくださいました。
こうした、何気なくできた体の変化に気づくこともとても大切なことです。
いい状態を定着させながら、早く症状が改善するように引き続きお体を診ていきます。