手術宣告され絶望していた腰部脊椎狭窄症が改善|男性 60代
腰部脊椎狭窄症(ようぶせきついきょうさくしょう)ではないかと診断を受けたMさん(男性・60代)の改善経過です。
左の腰〜足首にかけて強い痛みがあり、立っていることや歩行、寝返りがきつい状態でした。
医療機関では手術を打診されていました。
症状・診断
Mさんは、左下半身全体に痛みを抱えていました。腰〜臀部〜ふくらはぎと、日によって痛むところが移動するのと、前スネにも痛みがあり、重たい感じや動くとズキっとする感じがありました。痛くて体を起こして歩くことができず、腰を曲げて、杖をつきながらゆっくりゆっくり歩くのがやっとの状態でした。
これらの症状を発症したのは来院する半年ほど前からです。
一度激しい痛みが出て、1週間ほどで自然に治ったものの、その後何度か繰り返すようになりました。ついに初来院する3週間前には、かつてないほどの激痛に歩くのもままならなくなり、一人での外出が不安で杖を付きながら奥様に付き添われての初来院でした。
整形外科では、「腰部脊椎狭窄症ではないか」とのことで、はっきりとした診断ではなかったそうです。Mさんは昔、顎を骨折したことで針金(金属)が入っており、そのせいでMRIと造影剤を使えないためレントゲン検査しかできず、あくまで「疑い」であって、手術して実際にメスを入れてみないと本当に腰部脊椎狭窄症かどうかわからないという状況でした。
開けてみて違ったら…と思うと怖くて手術を躊躇していたMさん。そもそも本当に狭窄だったとしても、しなくても済むならしたくない。
そんな矢先、仕事の取引先にたまたま自分と同じ症状で手術をしたことがある方がいて、相談をしたところ、力を込めて「絶対に手術しないほうがいい」と言われたそうです。その方は、手術自体は成功したそうですが、すぐに楽になったわけではなく、時折痛みがぶり返したりリハビリにも時間がかかったり、相当に大変な思いをしたそうです。
それを聞いて、なおさら手術は避けたい一心で当院に来院されました。
治療計画・方針
Mさんは、歩くのもやっとで、全ての動作をゆっくりしないときつそうでした。施術でベッドに仰向けもきつく、最初うつ伏せで施術をしましたが、だんだん痛みが出てきてしまい、途中から仰向け&膝を立ててもらうと、何とかまし、という状況でした。
Mさんの身体は、お尻や太もも裏、股関節周辺など骨盤周りの筋肉がこわばっていました。また、上半身にも硬さが見られ、特に左側は肩甲骨から腕にかけての緊張がかなり強かったです。
はじめ、「特に思い当たる原因がない」と言っていたMさんですが、左肩の極度の緊張が腰周辺の筋肉を引っ張り、負担をかけている可能性があることを伝えると、仕事柄一日中デスクワークをしており、左肩を思い切り前に突き出したような猫背の姿勢のまま仕事をすることが多かったそうです。
「自分でもとんでもない姿勢だとは思っていましたが、その方が仕事に没頭できるし楽な気がして…」といいます。昔からそうやってきたし、まさか上半身が影響しているとは、つゆほども思わなかったそうですが、この情勢で在宅勤務になりデスクワークの時間が増えたことで助長されたのかもしれません。
初回では、特に痛みが強い左下半身全体と緊張の強い上半身左側を中心に施術を行い、筋肉を緩めました。また、日常では仕事中の姿勢を崩しすぎないようにアドバイスもしました。
週に1回の通院ペースを提案しました。
症状改善までの経過
初回施術後:痛みが減り、一番痛かった時を思えば、だいぶ良いとのこと。3週間前の悪化以来、ゆっくり動くのもきつかったが、施術の4〜5日後には少しなら直立歩行で動けるようになった。しかし、動いた後は痛みが戻ってきてしまう。
2回目:施術直後は調子が良くなったが、調子がいいあまり動いてしまったため、2〜3日後は逆にすごく痛みが強くなった。
3回目:前回を教訓に、調子が良くなっても動かないように安静にしたところ、痛みがだんだんおさまってきた。初回の時の痛みを数字の10とすると、3〜4までに減ってきた。まだ杖なしだと30メートル歩けない。
「痛みがなくなっても無理してはいけないんですね。去年も、良くなってはすぐに動いてしまったのがいけなかったんだと思います。何回も痛みを繰り返して、もうあの痛みは本当に嫌なので、今度こそ安静にします。」とのこと。
4回目:調子が良かったことと、仕事でどうしてもやむをえず、施術後2日間は動きすぎてしまったが、いつもなら痛みがぶり返すところ、悪化しなかった。念のため、次の日は1日養生した。
5回目:仕事でどうしてもやむをえない時以外は無理をせず、極力安静を徹底したところ、杖を持ちながらなら早歩きができるまでに回復してきた。気付いたら早歩きになっていて、後でまずいかなと思ったがぶり返すことはなかった。最近では痛みはほとんどなく、ピリピリとしたしびれが一番気になるように。
「安静にしてることで明らかに治ってきているんですが、運動をしなすぎて筋肉が落ちちゃうんじゃないかと不安なんですが、大丈夫なんでしょうか?」と質問があった。
確かに運動をしなければ筋肉は落ちるが、痛みをかばうことで筋肉に変な緊張クセがついてしまい、結果的に治りが遅くなってしまうかもしれないことと、痛みがない状態で運動再開すれば筋肉はちゃんと戻ってくるし、バランスよくついてくれるので、今は痛みの解消を最優先した方がいいことを回答したところ、Mさんも納得された様子。
6回目:痛みは全くなくなり、しびれのみに。動くとまだ痛みは出るがだいぶ良い状態に。施術していても全身の柔軟性が戻ってきたので、更なる治癒促進と再発予防も兼ねて、腰回りの血流をよくするFMT整体YouTubeのセルフケア「腰ゆらゆら体操」をお伝えした。
7回目:痛みもしびれも全くなくなる。杖はまだ手放せないが、仕事で3キロ歩いても大丈夫だった。
8回目:お守りがわりに念のため持っているが、杖をつかなくても歩けるように。
なお、この頃から左顎に痛みが出てくるようになった。MRIをする妨げにもなった、針金が入っているという顎は、18歳のころに骨折したところ。
(施術を受けて筋肉が緩むと、緊張ありきで支えられていたバランスがいい意味で崩れるため、骨が本来の自然な位置に戻ろうとして関節などに痛みが出てくることがあります。)
9回目:杖を忘れてしまうことが増えた。多少怖いが、小走りもできるように。今や顎が開きづらい方が気になる。
10回目:奥さんと散歩で5キロ歩いたが、何事もなく過ごせた。
11回目:大股歩きも小走りも全く問題ない。怖さもない。杖は一応持っているが全く使っていない。
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この頃には身体の硬さはずいぶん取れ、動きもよくなってきていましたし、身体の状態に比例するかのようにMさんの精神面での不安がほぼなくなり自信がついてきたので、以降は2週間に1回の通院ペースに切り替えることに。日常生活ではほぼ問題がなくなったので、今後は運動などで負荷をかけても大丈夫な状態を目指していきます。
途中から出てきた顎の痛みも、改善していく可能性が大いにあるため、一緒に見ていくことになりました。
施術家からのコメント
初回来院から3ヶ月弱、ここまでよく頑張られたと思います。初回は立っているだけでも本当にきつそうでしたが、来院のたびに姿勢もよくなりどんどん表情も明るくなっていくのがわかりました。
手術を打診された時、「この先自分は一体どうなってしまうんだろう、終わってしまうんじゃないか。」と絶望したと言ってましたね。
でも、顎の針金のために詳しい検査ができず、はっきりとした診断がつかなかったことはかえってよかったと、「顎のケガに助けられたかもしれません。」と笑っておっしゃっていましたね。取引先の方のお話が聞けたことも、手術しないで治す後押しになったと思います。本当に良かったですね。
引き続き、腰の痛みの再発防止に取り組みつつ、顎の痛みもちゃんと治していきましょう!