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【完全保存版】不眠を改善していくための考え方と方法

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寝ている猫

「布団に入ってもなかなか眠れない」「やっと眠れたと思ったら、夜中に目が覚めてしまい、もう眠れない」「もっと寝たいのに、朝早くに目が覚めてしまう」

──そんな経験をお持ちではないでしょうか。「眠れないと辛くなる」と焦ってしまうことで、さらに眠れなくなる悪循環に陥ってしまうこともあります。

夜に十分な睡眠時間がとれないと辛いですよね。FMT整体にも、睡眠障害に悩む方が多く来院されます。特に、ここ数年はその数が増加しています。その原因には、ストレスや不安、パソコンやスマートフォンの使用、リモートワークの増加、社会的孤立感などが挙げられます。

これらの要因は、首や肩、背中の筋肉を硬くしてしまい、自律神経に悪影響を与えます。筋肉が硬くなると、脳への血流が減少し、自律神経やホルモンをコントロールする脳の機能が低下してしまうのです。

しかし、この筋肉の緊張をゆるめると、脳や自律神経の機能が回復し、眠りが改善されるケースが多く見られます。

不安が強い方や、ご高齢の方はホルモンの関係で長く眠れない場合もありますが、そのような方でも、少し考え方を変えることで楽になることがあります。どういうことかというと、私たちは「一晩ぐっすり寝る」ことを理想としがちですが、歴史を振り返ると必ずしもそれが唯一の正解とは言えないのではないかと考えられるのです。

現代では、十分な睡眠を夜に取ることが望ましいかもしれませんし、FMT整体でも睡眠の重要性を強調しています。しかし、固定観念にとらわれすぎず、少し考え方を柔軟にするだけで、気持ちが楽になり、結果的に眠れるようになることも多いのです。その理解のために、まず「睡眠の定義」と「歴史」を見ていきましょう。

1.睡眠とは何?

「睡眠とは何か?」と聞かれて、すぐに答えられる人は意外と少ないかもしれません。実は、睡眠の定義は、最近まで明確ではありませんでした。現在では、科学的に脳波を基にして睡眠状態を判定しています。ある脳波が現れた時、それが睡眠であると判断するのです。

ただ、脳波を測定しても、それが「本当に眠っている」ことを完全に確認できるわけではありません。眠っているように見えても、声をかけたら目を覚ますかもしれませんし、逆に眠っているふりをしている可能性もあります。ですから、「この脳波が出ている時は睡眠中だとみなす」という後付けの判断に過ぎないのです。

重要なことは、現代の科学でも、私たちにとって身近な「睡眠」の概念がまだ完全に解明されていないということです。ここでは話を進めやすくするために、睡眠を「意識が低下し、感覚情報が認識されにくくなった状態」と定義することにします(意識とは何か?と言う議論もありますが睡眠がテーマだけにそこは目をつぶります)。

哺乳類の睡眠

次に、私たち哺乳類がどのように睡眠をとっているのかを見てみましょう。実は、夜にまとめて長時間眠る「単相性睡眠」を行うのは、私たち人間を含め牛や馬などごく少数の動物です。例えば、キリンは1日に20分しか眠らず、深い眠りに入るのは1~2分だけと言われています。

身体の大きな草食動物は、身体を維持するため草を大量に食べる必要があり、睡眠時間が短いようです。外敵から身を守るためにも睡眠時間は短いにこしたことはありません。実際、動物園の動物は安全だからか、野生の同種の動物より長く眠り、キリンは2時間ほど眠るようです。

一方、それ以外のほとんどの哺乳動物は1日に何度も寝たり起きたりする「多相性睡眠」というスタイル。特に肉食動物は全て多相性睡眠です。

そして、本当は、私たち人間も多相性睡眠であるという研究報告があるのです。米国ヴァージニア工科大学の歴史学者であるロジャー・エカーク教授によれば、産業革命前、多くの人は夜中に1~2時間起きる時間を挟んで3〜4時間ぐらいずつ眠っていたそうです。このスタイルはヨーロッパだけではなく、ラテンアメリカ、中東、オーストラリアを含む広い地域でも一般的だったとのことです。

また、1990年代に精神科医であるトーマス・ウェアが行った実験によると、毎日14時間、暗闇の部屋に入れられた被験者は、約4週間目で、眠ってから4時間で目を覚まし、1、2時間起きた後で再び4時間寝るという睡眠パターンとなったとのこと[1]。私たちが夜中に目が覚めてしまうのは自然なことなのかもしれません。

確かに、大むかし、外敵がたくさんいる野生で暮らしていた私たちの祖先が、多相性睡眠であった方が生存には有利ですから納得できる面があります。

2.昔の日本人の睡眠スタイル

それでは、昔の日本ではどのように眠っていたのでしょうか。日本でも夜に長時間まとめて眠るという習慣は強くありませんでした。平安時代の貴族は、夜間に活動し昼間に昼寝をすることが一般的でした。つまり、昼と夜に分けて眠っていたのです。

江戸時代の農村部でも早朝に起きて農作業をし、暑い昼間には昼寝をする習慣がありました。現代の農家でも昼寝の習慣が続いています。

なお、現代でもスペインを中心に広く行われている「シエスタ」という習慣があります。シエスタとは、主に地中海沿岸諸国で見られる習慣で昼食後の昼寝のことです。スペインでは午後2時から午後5時を休息に充てます。この時間帯は眠くなりやすく、生産性や注意力が落ちるためです。強い日差しを避ける意味やカフェインの過剰摂取を避ける役割もあるようです(ただし、終業時間が伸びるなどの理由で公務員などではこの習慣が廃止されたりしています)。

農家の方の昼寝は日本版シエスタとも言えそうですが、このように歴史を振り返ると、日本を含む多くの国では、夜に1回長時間眠ることが必ずしも一般的ではなかったことがわかります。つまり、夜中に目が覚めるのは、もともとの人間の自然な状態なのかもしれません。

なお、よく言われる「熟睡している時に回復ホルモン(成長ホルモン)が出る」というのは正しいのですが、近年の研究では、睡眠時に回復ホルモンがでなかった分は覚醒中に補償されるという報告があります[2]。現段階では研究も限定的なのですが、眠っても眠らなくても回復ホルモンの総量にもしかしたらさほど変化はないかもしれないのです。眠れるに越したことはありませんが、眠れなくても少しだけ気楽に考えてみてはいかがでしょうか。

更に、ある研究では、被験者の一部は3時間の睡眠を取った後に起こされ、その睡眠時間を正確に伝えられました。一方、別のグループは同じく3時間の睡眠を取ったものの、8時間の睡眠を取ったとウソの時間を告げられました。

この研究の結果、被験者の主観的な睡眠感や疲労感が、実際の睡眠時間よりも「どれだけ眠ったと思っているか」に大きく影響されることが示されました。つまり、3時間しか眠っていないのに8時間眠ったと信じたグループは、比較的良好なパフォーマンスを維持し、疲労感も少なかったという結果が得られたのです。

この研究は、「何時間眠ったと思っているか」が、睡眠不足の影響に大きく関与する可能性があることを示しており、日中の活動や回復にも大きく影響を与えていることが分かります[3]。

病は気からと言いますが興味深い結果です。もちろん、気持ちの問題だけで全てが解決できると言うつもりはありません。「睡眠不足で眠い・だるい」などの不調は本当に辛いですから、きちんと解消したいですね。

そのために、一般的には睡眠導入剤などが使われます。ただ、睡眠薬は辛い苦痛の除去には一時的に有効ですが、安易に常用すると副作用や依存、認知機能低下などの危険があります。特に近年社会的問題となっているのが、せん妄(一時的な精神状態の混乱)による高齢者の交通事故です。

せん妄の背景には様々な要因があるのですが、最も影響があると指摘されているのが薬です。一昔前「鬱は心の風邪です。」などと大手マスメディアで喧伝されていたのを覚えている方もおられるでしょうが、それ以降投薬が激増している鎮静薬、睡眠薬、抗うつ薬、抗精神病薬などの薬物は、せん妄を引き起こすリスクが高いとされているのです。これらの薬は脳の神経伝達物質のバランスに影響を与え、意識や認知機能を乱すことがあります。

また、近年基準値が大幅に引き下げられ、売上が4倍以上に伸びている「高血圧」の薬や、やはり基準値が引き下げられて以降、売上が激増している「高脂血症」の薬などの複数の薬を併用することで、薬物の相互作用が生じ、せん妄のリスクが増加します。基準値の引き下げにより現代の高齢者は飲んでいる薬の数が多くなっているため、せん妄の発症リスクがさらに高まっています。

薬は一時的な使用で済ませるのが理想です。そもそも本当に薬が必要なのでしょうか?必要だとしても、根本的な問題解決のためには体質や生活習慣を改善していく方向にシフトし、できるだけ薬に頼らないようにしていくことが大切です。

そこで、私たちがおすすめするのは「最強の昼寝」です。
また、首や肩、背中の緊張を取ってあげると、自律神経の機能が整い、短い睡眠時間でもすっきりと目覚めることが可能となりますから、ご家庭でできるセルフケアもお伝えします。
更に簡単に自律神経を整え健康になる水の飲み方もお伝えしていきます。

それでは、まず、「最強の昼寝」について見ていきましょう。

3.最強の昼寝・短い昼寝の力

現代の研究でも、短時間の昼寝が集中力や認知機能の向上に効果的であることが示されています。具体的には、20~30分程度の昼寝が、午後のパフォーマンスを大きく向上させます。NASAやGoogleのような企業では、この昼寝を推奨しています。日本でも、一部の企業が昼寝を取り入れています。

また、15分の昼寝が夜の2時間分の睡眠に匹敵するという報告もあり、実際に行ってみるとその効果に納得する方も多いです。特に、夜に十分な睡眠が取れない方や夜勤がある方にとっては、日中の短い昼寝が有効です。

更に、ヨットレースの選手や長距離トラックの運転手が実践しているように、短時間の昼寝を繰り返すことで、集中力や反応速度、生産性を維持しつつ、必要な休息を取ることができます。特に午後の疲れが出やすい時間帯に複数回の短い昼寝を取り入れることで、仕事や家事の効率が大きく向上します。

昼寝は15~20分を目安にしましょう。30分を超えると、起きた時にだるさを感じやすく、夜の睡眠にも影響を及ぼすことがあります。また、昼寝と昼寝の間は、2時間以上あけることが理想です。頭が心臓より高い位置にある姿勢で昼寝を取ると、目覚めがすっきりします。椅子に座ったまま、机にクッションを置いて伏せたり、リクライニングチェアを少し倒して眠るのがおすすめです。

※「7.自律神経を整えるセルフケア」で紹介する寝つきが良くなる入眠ルーティーンで背中の筋肉をゆるめてから昼寝を行なうと、さらに効果が倍増します

なお、昼寝の直前にコーヒーなどカフェインの入った飲み物を飲むとすっきり起きられます(ただし午後のカフェインは夜の睡眠に悪影響となるため控えましょう)。

はじめは、眠れずに時間が過ぎてしまうこともありますが大丈夫です。目をつむっているだけで脳への負担が大幅に減ります。視覚は人間の感覚の中で最大の情報源であり、脳のエネルギーを大きく消費します。視覚情報の処理は脳全体の情報処理能力の約30〜50%を占めていると言われているため、目をつむっているだけで効果があるのです。

寝姿勢や場所、肌ざわりのいいブランケットや、安らぐ香り、心地よい自然音など、いろいろ試してください。同じ条件を整えると眠りやすくなります。ただ、くれぐれも、眠らないといけないとは思わないでください。余計に眠れなくなります。「目を閉じているだけで十分効果がある」ことを忘れないでください。

4.夜の睡眠を分ける方法(分割睡眠)の効果

夜に長時間の睡眠を取ることが難しい方には、短い昼寝のほかにも「分割睡眠」という方法があります。例えば、夜に4~5時間眠り、午前中や午後に1~2時間の睡眠を取ることで、睡眠時間を分散させる方法です。この方法は、夜間に眠りが浅くなりがちな高齢者や、昼間に活動する必要がある方に特に有効です。

歴史的に見ても、日本でも夜に目が覚めることは普通のことであり、その際に無理に再度眠ろうとせず、少しの間活動してからもう一度眠るという習慣がありました。これを現代に応用すれば、夜中に目が覚めた時に不安を感じることなく、リラックスした状態で再度眠ることができるようになるかもしれません。中途覚醒したら、暗闇で悶々とするのではなく、電気をつけて読書するなど思うがままに過ごしてみてはいかがでしょうか。

5.高齢者の方へ:昼寝の効果

高齢者の方々は、体内時計が変化したり、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が減少したりするため、夜に長く眠ることが難しくなることが多いです。なお、高齢の方が長く眠ると、脳梗塞や脳出血、心筋梗塞のリスクが高まるので、身を守るために長く眠らないようになるのではないか、とか、孫守り(赤ちゃんのお世話)をするために睡眠が浅くなるのではないか、とか、人間本来の睡眠リズムに戻るのではないかなどとも言われていますが、いずれにせよ、こうした変化に対応するためには、昼寝を取り入れることが効果的です。実際、昼間に少し休むだけで、気分が良くなり、認知機能が向上するという研究結果があります。

※ただし、「昼も眠れない」方は、1〜2時間の睡眠をする分割睡眠ではなく、2でお伝えした15分〜20分の短い昼寝で目を閉じるだけをおすすめします。

例えば、NASA(アメリカ航空宇宙局)が行った研究では、昼寝がパイロットや宇宙飛行士のパフォーマンスに与える影響を調査しました。この研究では、26分の昼寝がパフォーマンスを34%向上させ、注意力を54%向上させることが確認されました。この研究は、昼寝が特に認知機能や反応時間に効果的であることを示しています[4]。

また、サラ・メドニック博士らの研究では、昼寝が学習と記憶に与える効果を調査しています。この研究では、昼寝をすることで、特に視覚的な学習課題においてパフォーマンスが向上し、90分間の昼寝が一晩の睡眠と同等の効果を持つことが示されました[5]。

更に、2010年のレビュー研究(ある特定のテーマや分野に関する複数の研究や論文を総合的に分析し、その結果をまとめた研究のこと)では、昼寝がパフォーマンス、気分、認知機能に与える影響を詳細に分析しています。結果として、昼寝が気分を改善し、注意力を高め、認知機能を強化するエビデンスが多く示されました[6]。

6.大切なのは睡眠を能動的にコントロールすること

「7時間以上は眠らないと健康に悪い」「回復ホルモンはノンレム睡眠のときに放出される」「睡眠不足は認知症のリスクがある」など、様々なことが分かってきました。一方で、生物の身体というのは、多くの分野で基本的な仕組みはかなり解明されていますが、複雑な相互作用や新しい技術による発見など、まだ多くの未知の部分が残されていることも事実です。特に脳の仕組みや病気のメカニズムは未解明な部分が多いです。

いまだ完全には解明されていない睡眠の常識で、不安になったり、入眠剤を常用したり・・・。ますます健康から遠ざかって行くかのようです。

それを回避するには、自分に合った睡眠の習慣を見つけ、睡眠を能動的に積極的にコントロールすることが大切だと考えます。そうすることで心身に余裕が生まれます。実際、筆者も夜に3〜4時間、昼に複数回の短い昼寝で業務をこなす習慣があります。それによって時間ができ趣味のスポーツも再開することができました。

7.自律神経を整えるセルフケア

短い睡眠時間でも疲労が回復できる身体を作ることは、睡眠障害の根本的な解決方法として大切です。最初にもお伝えしましたが、首や肩、背中の筋肉が緊張しているとホルモンや自律神経の働きが悪くなり、十分な睡眠が難しくなります。

この、首や肩、背中の筋肉の緊張を解く方法で、FMT整体でおすすめするのは次の体操です。

【不眠症 解消】寝つきが良くなる入眠ルーティーン3選
https://youtu.be/ASOQ_lWdKB4?si=gnQnQIEsWHi9iyrQ

この体操にでてくるまくらを使った体操は、医師監修の試験で不眠傾向が改善されたということが証明されています。

また、この体操と併せて行っていただきたいのが、「手当て」です。機能が低下した自律神経を回復させるためには、人の五感のうち触覚からのアプローチが最も効果的で持続性があることが証明されています。つまり、やさしいふれあいが大切なのです。お母さんや大切な人から身体を優しく触れられるだけで、高ぶっていた交感神経が落ち着き、疲弊した自律神経が回復し、副交感神経と交感神経が高いレベルで機能するようになっていきます。

すると、日中は交感神経が優位になり頑張れますし、休むときには副交感神経が優位に切り替わり、リラックスして眠りにつくことができるようになります。本当は誰かに触れてもらうのが一番よいのですが、一人暮らしの方は、自分で優しく身体を触れてあげると同様の効果が得られます。

次の動画では自分でもできるタッチケアを紹介しています。ぜひ習慣にしてみてください。
【脳の疲れを取る方法】脳疲労に効果的なタッチケア
https://youtu.be/HrgH0ykscI0?si=2EKGLFw8AYbgUPQ2

これらの動画のほかにも、FMT整体では、自律神経を整えて良い睡眠をとれるようになるケアをたくさん紹介しています。
ぜひ、FMT整体のYouTubeチャンネル「体の学校」をのぞいてみてくださいね。

8.自律神経を整える水の飲み方

自律神経が乱れている人には、0.1%の天然塩を入れた水をこまめに飲むことが非常に効果的です。現代人は、カフェインやアルコールの影響で水分が不足しがちで、特に年齢を重ねると喉の渇きを感じにくくなります。水をあまり飲まない方や、汗をかかない方、または質の良い塩分を取っていない方は、体が水分不足になっている可能性が高いです。体内で最も多い成分は水であり、水と電解質が不足すると自律神経が正常に機能しなくなります。

次のリンクでは、「体の疲労・不調の解消に効果的な水の飲み方3つのポイント」を紹介していますので、是非ご覧ください。
https://f-mt.jp/column/water/

9.最後に

「7~8時間の連続した睡眠が健康に良い」とよく言われますが、歴史を振り返ると、それが唯一の正解ではないことがわかります。私たちの体は、実は多様な睡眠パターンに対応できる柔軟性を持っており、現代の生活スタイルや個々のリズムに合わせて、昼寝を取り入れたり、夜の睡眠を2回に分けたりすることで、無理なく休息を取ることもできるのです。

長年、睡眠の研究は「7時間眠ることが健康に良い」という前提で進められてきましたが、それが本当にすべての人に当てはまるのか、十分な検討がされているかは疑問です。また、寝具メーカーや薬品会社などが研究のスポンサーとなることが多く、利益を目的とした研究結果が強調されることもあります。たとえば、ある寝具メーカーは、自社のマットレスや枕が良い睡眠を提供することを示すために独自の研究をしていますが、その結果は製品を売るために都合良く解釈される可能性があります。

睡眠薬に関する研究も同様で、製薬会社がスポンサーとなっているため、薬の効果が強調される一方で、長期間使用した際の副作用や依存のリスクについては、あまり広く知られていないことがあります。実際には、認知機能の低下や日中の眠気、不快感などが報告されているにもかかわらず、私たちに十分な情報が届いていないのです。

こうした営利企業による研究の影響で、「7~8時間の連続した睡眠が理想だ」というメッセージが私たちに強く植え付けられている可能性があります。そのため、睡眠に関する情報を受け取る際には、常に批判的な視点を併せ持つことも大切です。企業の製品を魅力的に見せるために、特定の研究結果が強調されることもあるからです。

もちろん、眠れる方が十分な睡眠をとることは、健康を維持するためには必要不可欠です。実際にFMT整体でも、痛みやしびれの早期回復のためには7時間の睡眠をおすすめしています。しかし、眠れない方にとっては、夜に7時間以上眠ることが唯一の方法ではなく、他の睡眠パターンでも苦痛なく生活できる可能性が十分にあります。最近では、こうした常識を覆す研究も多く報告されており、特に高齢者や夜に十分な睡眠が取れない方にとって、新しい視点が役立つかもしれません。

「睡眠負債」という言葉にいたずらに恐怖を感じずに、こうした柔軟な睡眠パターンが健康維持のために役立つんだという認識を持ち、睡眠ビジネスや薬に頼らずに自然な方法で生活の質を向上させることができるのは、大きなメリットだと思います。もちろん、一時的な苦痛の緩和のために適切に投薬を受けることは否定しませんが、薬は全て副作用がありますから、できるだけ常用は避けたいですね。

あなたに合った睡眠法が見つかり、悩みのない健康的な毎日になることを願っています。

【参考エビデンス】
[1]Wehr, T.A. (1992). In short photoperiods, human sleep is biphasic. Journal of Sleep Research, 1(2), 103-107.

[2]Brandenberger G, Gronfier C, Chapotot F, Simon C, Piquard F. Effect of sleep deprivation on overall 24 h growth-hormone secretion. Lancet. 2000, Oct 21;356(9239).

[3]Schwarz, J., Geisler, P., & Trujillo, A. M. (2009). Perceived Sleep Duration Influences Fatigue and Performance in Chronically Sleep-Restricted Individuals. Journal of Sleep Research, 18(2), 205-211.

[4]NASA Ames Research Center: “Naps: NASA’s Secret to Boosting Alertness in Pilots and Astronauts

[5]Mednick, S. C., Nakayama, K., & Stickgold, R. (2002). Sleep-dependent learning: A nap is as good as a night. Nature Neuroscience, 5(7), 677-681.

[6]Lovato, N., & Lack, L. (2010). The effects of napping on cognitive functioning. Progress in Brain Research, 185, 155-166.