毎日の育児が楽になる。手の症状が早く改善する身体の使い方
FMT整体には、出産などを機に、体の不調や手の痛み、しびれに悩まされる患者さんが多く来院されます。特にはじめての育児を経験されている方は、育児と家事の両立の中で自分の体はボロボロという方も少なくありません。
そのため、今回は家事や育児が楽になる体の使い方についてお伝えしていきます。ぜひ、日々の生活にお役立てくださいね。
シーン別、具体的な身体の使い方
今回は、特に患者さんから悩みとして多くあげられる
・買い物袋などの荷物の持ち方
・赤ちゃんの抱っこの仕方などをお伝えします。
まず、そのための基本となる大切なポイントを3つ覚えてください。
・身体の中心軸に近いところに寄せて持ったり、抱っこしたりする。
・体幹部の肩甲骨や股関節を使い、手や腕の力をいい加減(良い加減)に抜く。
・重力をいなす・利用する
赤ちゃんの両手抱っこ
赤ちゃんを抱っこする時は、赤ちゃんを身体に密着させます。この時、赤ちゃんの頭がお母さんの肩より上に出るようにすると楽です。お母さんのウエスト部分に赤ちゃんの脚が巻き付くように。
画像出典:https://iko-yo.net/articles/321
自分の体の中心軸に寄せることで、体幹の大きな筋肉の力を利用できます。
更に身体の中心軸に近づけば近づくほど、支点と作用点の間が近づくので、テコの原理よろしく、小さな力で抱っこすることができます。
抱っこしたら両手のひらを一度反転(外に向ける)させてあげると、肩甲骨周辺の筋肉が張るので、右手から右腕、肩甲骨、左腕、左手までが1本の帯のようにつながり、「自前の抱っこ紐」のようになります。
一度手の平を返すと、肩甲骨間が開き体幹である背中の力をうまく使えるようになり、腕や手の力を抜くことができるんですね。
長く抱っこしていて、腕だけで持っていると感じるようになったら、また手のひらを反転させてみてください。また、背中と腕とが連動するようになります。
赤ちゃんの片手抱っこ
抱っこする方の手の中指と薬指を軽く曲げ、逆の手の中指と薬指も軽く曲げるとあら不思議、楽に抱っこすることができます。
買い物袋の持ち方
親指、人差し指、中指は、物をつまんだり、細かい作業をしたりするように進化しています。
箸や鉛筆を持つのはこの指です。この動きができるのは、人間とサルの仲間ぐらいなのです。そして、強く握る役割は、小指、薬指、中指が担当します(中指はどちらも担当)。
ですので、重い買い物袋などを持つときは、小指~中指をメインに使うとよいのです。
まず持ち手を中指と薬指の付け根にかかるようにして持ちます。
次に背中のハリを意識して持ちます。疲れてきたら手首を返すと、背中の筋肉を使えるようになります。
手のひらが外側を向くようにすると、肩甲骨周辺の筋肉が張るので、その筋肉のパワーを使うことができるので、腕が楽になるんですね。
画像出典:https://www.orangepage.net/daily/334
なお、荷物を持つときは肘を伸ばして持ちましょう。肘を曲げると腕の力を使ってしまいます。
また、別の方法として、短時間であれば、手首の甲に袋の持つところをひっかけてあげると、指だけで重さを支える必要がないので、肘から先の筋肉が疲れづらいです。
なお、関節に痛みがなければ、手のひらの向きを外側に向けてあげると、更に楽になります。
画像出典:https://blog.goo.ne.jp/masa0518u/e/6bb0efaa6f5a8fc4c53f9a0a3e109940
椅子に楽に座る、椅子から楽に立ち上がる方法
スクワットのように上体を垂直に近い体勢で座ったり立ったりすると、脚の力だけに頼るので、大変力を使います。そうやって力むたびに疲れますし、全身の筋肉が硬くなってしまいます。
この場合は、身体の中で最も大きな関節である股関節を有効に使います。
座るときは股関節を折り、上半身を前に倒していく。シーソーのように頭と股関節のバランスを保ちつつ座る。
立つときも股関節から折り曲げ、頭の重さで自然におしりが浮いてくるタイミングで立つ。
※赤ちゃんを抱いている時も座り方は同じです。バランスに気を付けて、身体に赤ちゃんを密着させ行ってみてください。
現代では、洋式の生活、椅子にずっと座る生活によって、以前のように股関節を十分に曲げ伸ばしする機会が減り、股関節が硬くなり、十分に使えなくなっている方が多いです。
さらに、手に症状がある方は、腰や骨盤、股関節周りが硬くなっていて、そこからの筋膜のつながりで手に痛みが出ている方も非常に多いです。
股関節を意識して十分曲げ伸ばししたり、使ってあげたりすることで、膝や足腰だけではなく、腕や手といった上半身の末端まで楽になってきます。
寝ている赤ちゃんが軽く感じる抱き上げ方
片膝を立てた姿勢でしっかり腰を落とす。
赤ちゃんの背中に手の甲を上にして手を差し入れ、手のひらを反転させ、赤ちゃんを支える。おしりの下も同様に支える(手の平を一度反転させることで腕ではなく体幹のパワーで赤ちゃんを支える)。
立てている膝の方向に「回転しながら」股関節から上体を起こす。
その流れを止めないように、さらに90度回転して立ち上がる
※この立ち上がり方ができると、肩甲骨と股関節のパワーの両方を使えるのでとても楽に立ち上がれます。
また、直線的に立ち上がると重力のベクトルと喧嘩しますが、回転して立ち上がることで重力をいなすことができ楽に立ち上がれるのです。垂直に近いハシゴを上るのは大変ですが、ラセン階段は楽に上がれるのと同じ原理です。
座っている赤ちゃんの抱き上げ方
ヤンキー座りをし、赤ちゃんを密着させて抱っこする。
股関節を折り上体を前に倒すとおしりが上がるのでそのタイミングで立つ
すべての症状は小さな生活習慣の積み重ね
いかがでしたでしょうか。なるべく身体の末端部分の力を使わずに、体幹部分の大きな筋肉の力に頼ることが、身体を痛めずに毎日を楽に過ごすことができる秘訣です。
1回1回の負担は小さくても、それが積み重なると大きな差となって身体に現れてきます。
今回紹介した動きは、どれも簡単に実践できるものばかりですので、ぜひ日々の生活に取り入れてみてくださいね。