「交代浴」の効果とやり方|適切な回数や温度も解説
今回は、患者さんから質問の多い「交代浴」についてお伝えしていきます。
交代浴は、通常の入浴よりも、疲労回復等の効果が高まりますので、私たち施術家の中にも愛好者がいるのですが、気を付けていただきたいことがあります。
注意点
まず、はじめに注意点をお伝えします。
私たちは、通常、FMT整体に来院される方には、交代浴ではなく、普通の入浴をお勧めしています。
その理由は、交代浴は、普通のお風呂より刺激を多く与えることで身体の反応を高め、回復力を引き出す入浴法なのですが、
痛みや不調が強く出ている方は、本来自分が持っている回復力が何らかの原因で十分に働かなくなっているため、交代浴の強すぎる刺激では、回復力を上手く引き出せないばかりか、かえって症状が悪化したり、不調を来たしたりする可能性があるからです。
交代浴は、特に痛みや不調などがない状態で行うことで効果を発揮する入浴法だということをご理解ください。
ですので、身体の痛みや違和感が長く続いていたり、強く感じたりする方はもちろん、疲労感が強い方や自律神経の失調が著しい方、なんだかあまり調子がよくないと感じる方などは、交代浴は避けて温かいお風呂に入るだけにすることをお勧めします。
特に心臓や血圧などの持病のある方は、かかりつけのお医者さんの指示に従ってくださいね。
交代浴とは
交代浴とは、温かいお湯に浸かる温浴と、水に浸かる冷浴を交互に行う方法のことを言います。
通常の入浴に比べて、自律神経を整え、身体の疲労を軽減し、回復を早めることができます。しかし、先ほども言いましたが、通常の入浴に比べて、身体にかかる負担が大きいので、無理は禁物です。
交代浴の効果
まず、適温のお風呂に入った場合の効果を簡単に説明します。
お風呂に入ると、お湯の温度と浮力と水圧によるマッサージ作用などの心地よい刺激によって、私たちの身体は芯から温まり、血流がよくなり、リラックスして緩むという反応をみせます。
このような反応が起きることで、疲労回復、免疫力の向上、自律神経を整えるというような効果が期待できます。詳しく知りたい方は、コラム「心身を癒す入浴の効果と方法|日本人が生み出した健康の知恵」をご覧ください。
一方、交代浴は、温かいお湯から冷たい水に入り、また温かいお湯に入ることを繰り返します。
温度を感じるのは神経なのですが、この神経というのは、温度毎に刺激される種類が異なっています。
ですから、温度幅がある交代浴は通常の入浴よりも、多くの種類の神経に刺激を与えることになります。
私たち生物の身体には、複数の刺激が加わると、その効果が単独の刺激の効果を足した合計よりも大きくなるという現象が現れる時があります。
このような作用によって、普通のお風呂に入った場合より、交代浴の方が、疲労回復などの効果が高まることが期待できるという訳です。
また、交代浴の温度差のある刺激は身体に緊張を与えます。すると、自律神経のうち活動的な神経である交感神経が一時的に高まり、副交感神経が一旦低下します。
ちょっと熱いお風呂やサウナや冷水に入ったりすると、眠気も覚め、すっきり元気になるのはこのためです。
そして、お風呂から上がってしばらくすると、一旦交感神経優位になった身体は、元に戻ろうとして、リラックスの神経である副交感神経を高めるようになります。
こうして自律神経調整作用がより高まることが期待できるのです。
更に、筋肉などの組織は、温かいと柔らかくなり、冷たいと硬くなります。その結果、筋や血管などの収縮弛緩が起こり、体液循環が促進されるのだと考えています。
効果的な交代浴
温度
高くても42度までのお湯と、低くても16度までの水に交互に入ること。
これは、身体に痛みを起こさないような温度(非侵害性の温度)が15度~43度と言われているためです。
10度程度の差があれば交感神経が高まると言われていますので、あまり無理せずに行うようにしましょう。
なお、43度以上、中には50度程度のお湯に浸かる“高温浴”という入浴方法もあり、とても効果を感じることがありますが、身体への負担やダメージも大きいので、温泉地などで行う場合でも慎重に行いましょう。
時間
お湯5:冷水1程度の割合ですが、あくまで目安です。気持ちよい範囲で調節してください。
回数
3回~4回程度。これも無理をせず行ってください。あまり多くするとかえって疲れてしまい逆効果になる場合がありますので、体調や気分に合わせて「ほどほど」が大切です。
具体的な交代浴の方法
銭湯
①42度までのお風呂に3分~5分程度
②16度以上の水風呂に30秒~1分程
③上記を数回繰り返す
※心地よいと思える時間、回数で行ってください。
自宅
①42度までのお風呂に3分~5分程度
②水シャワーを30秒~1分程(足元から徐々にかけていくようにしてください)
③上記を数回繰り返す
※心地よいと思える時間、回数、温度で行ってください
※以上は、目安ですので、寒い時は長めに温浴をして、冷水浴は短めにするなど、あくまで心地よいというのが大切です
※体調や気分がすぐれない時は、無理をせず、中止してください
※通院されている患者さんで交代浴をしてみたい方は、担当の先生にご相談ください
いかがでしたでしょうか。その時々の体調等によって、交代浴の良い効果が感じられるかどうかはやってみないと分からない部分がありますので、行う場合は、少しずつ、様子を見ながら時間や回数を加減するなどして行うようにしてくださいね。