親指の腱鞘炎(ドケルバン病)| 20代 女性 保育士
保育士のTさん(来院当時29歳)は、2ヶ月前から利き手である右手の親指の付け根に強い痛みを感じ、仕事や家事に支障が出ていて悩んでいました。痛めたのは今回が初めてではなく、その数ヶ月前にも一度激しく痛んだ時がありました。もっとさかのぼれば7〜8年前にもやはり同じように痛かったそうです。定期的にくり返すため「治ってもまた痛みが出るのでは?」と常に不安を感じていました。
何度も打つのは良くないと知りつつも、あまりの激痛に即効性を求めて毎回ステロイド注射を打ってきましたが、いつもなら翌日になくなるはずの痛みが今回は取れず、次は手術と言われるまでに。「手術は避けたい…。」そんな中、薬も手術も必要ないとうたう当院の施術に魅力を感じてすぐに来院を決めたといいます。
症状・診断
主な症状は、
・親指の付け根近くが痛い
・動かすと「ガクッ」とする感じがする
・手をついたり、手首を曲げたりすると激痛
・重い物を持てない、字を書くときに痛みを感じる
保育園ではTさんは主に1歳児の担当で、11〜13kgほど体重のあるお子さんたちを抱っこしながら連絡帳を書いたり、パソコン作業をしたり、6人乗りのベビーカーを押したり……と、何をするにも痛むのをこらえながら仕事をしていました。
病院では、
・「ドケルバン病」と診断される
・ステロイド注射を打つと、次の日には完全に痛みがなくなっていた(これを何回も繰り返してきた)
・ステロイド注射が効かなくなり、手術を打診される
治療計画・方針
Tさんの症状は最初に発症してから7〜8年経っていることや、かなりの激痛である点に関しては重度でしたが、痛くない期間は全く痛くないこと、何もしなければ痛まないこと、特定の決まった動作によって痛みが出ていたことから、一部の筋肉の動かし方に偏りがあることが主原因ではないかと思われました。
例えば、Tさんが最も痛むという手をつく動作(=手首をそらす動作)は、手首の筋肉そのものよりも、主に前腕や手の平の筋肉の柔軟性が必要です。これらの筋肉が硬いと腕全体がスムーズにしなることができず、分散しきれなかった力が構造的に柔らかい手首(親指の付け根)付近に集中してしまうことで痛みが出ているように推測されました。
腕の筋肉が全体的にしなるような柔軟性を取り戻せば、回復していく可能性が高いことを伝えました。
症状改善までの経過
2回目の来院時:施術後2日間は、かえって痛みが強くなった。初回で説明を受けていた好転反応ではないかと思ってはいたが、「すごく痛かった」とのこと。しかし、その後は楽になり、初回来院時の痛みが10だとすると4まで減る。
3回目:ほとんど痛みなし。前回と同じく、施術後2日間は痛みが強くなったが、前回ほどではなかった。気にならず使えるけれども、1度だけ怪しい感じがした。
4回目:施術後、ほんの少し痛みが強くなったが、もう普通に使えている。
再発防止のため、肩周りや背骨を柔らかくする体操を伝える。(メインは前腕や手の平だが、肩周りや背骨周辺の柔軟性は、前腕への血流促進や神経機能のさらなる回復に繋がるため)
5回目:3週間後。前回(4回目)施術後からは、好転反応も含め全く痛みなし。心配もほぼない。
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5回目来院時は3月でした。
3〜4月は卒園と入園が続いて仕事がとても忙しくなるため、定期通院は一区切りとなりました。
「また痛みが出た際には、迷うことなくお世話になりたい」とアンケートに書いてくださいましたので、その後連絡はないことを思うと、経過良好と思われます。
施術家からのコメント
Tさんは当院を知った直後、すぐに予約をされたそうです。その最大の理由は、
・薬を使用しないこと
・手術をしないこと
でした。
ステロイド注射を打って効果を感じていた時でも、できれば薬は使いたくないとずっと思っていたそうです。でも、日々の家事や仕事は待ってくれないので、背に腹は変えられない状態だったのではないかと思います。
結果論ですが、今回いつものようにステロイド剤が効かなくなったことは、Tさんにとってはとてもよいきっかけだったと思います。他の方法を探すしかなくなったことで、かねてからの望み通り、薬を使わず手術もせず回復し、家事も仕事もできるようになりました。
社会に対する責任を果たしながらも、自分の体に対する責任も果たしていかないといけず、どちらかだけを優先するわけにはいかない中で日々を送っている方がほとんどだと思います。
もし「もうどうしていいかわからない」と混乱の中にある方は、一度体を診せていただくことで、ベストな提案ができるかもしれません。どうぞ一度ご相談ください。