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手根管症候群(透析アミロイドーシス)|60代 女性

手根管症候群

手根管症候群(透析アミロイドーシス)|60代 女性

今回は、Tさん(60代・女性・会社員)の、透析アミロイドーシスによる手根管症候群の改善事例をご紹介いたします。

症状・診断

会社員である60代女性のTさんが両手の痛みやしびれに悩まされはじめたのは1年前からです。医療機関では「手根管症候群」と診断を受けていました。

Tさんは、左手の親指、人差し指、中指と薬指の半分に常にしびれがあり、手根管症候群の典型的な症状でした。睡眠中は痛みとしびれで毎晩目が覚めてしまうほどでした。また、長年の趣味であるゴルフをした日の夜も症状が悪化しました。

Tさんは20年以上人工透析を続けてきたため、医師からは「透析アミロイドーシス」による手根管症候群だと言われました。長年にわたって透析をされてきた方に多く、透析を行うことでアミロイドというタンパク質の一種が上肢に溜まりやすく、それが神経を圧迫して手のしびれや痛み、動かしづらさなどの症状が出ると言われています。手根管症候群以外にも、腱鞘炎やバネ指、肘や肩に痛みなどの症状が出ることが多いようです。

そして、Tさんは医師から「透析を行っている以上、自然に治ることはないので手術しかない」と言われたそうです。

FMT整体に来院された時には、すでに手術の日程も決まっていたTさんでしたが、「できれば手術は最後の手段にしたい」という思いからFMT整体に来ました。

治療計画・方針

Tさんは全身の筋肉に硬さが見られました。デスクワークという仕事柄のためか、特に首から腕にかけてこわばりが強かったです。また、以前撮ったレントゲンには首の骨の変形も見られたそうです。

また、過去には四十肩・五十肩になったこともありました。一番ひどかった当時に比べれば、今では肩の上げ下げは大夫できるようになったと言いますが、まだ可動制限がありました。脇の下にもしこりのような硬さが見られました。

加えて、お腹周りや股関節付近が冷えていて硬かったです。聞くと、これも以前に検査した際に腰の骨に変形が見られ、「すべり症」と診断を受けたことがあるそうです。腰痛がある方は腰の周りの筋肉が硬くなっていることが多いので、そのことも一因となっているのかもしれません。

ですので、症状が出ている手の指だけではなく、首〜腕や、首〜背骨、そして下半身も含めた全身の緊張を和らげる施術を行いました。

医師からは長年の人工透析が原因と言われつつも、症状が出ているのは左手だけだったので、「人工透析によってアミロイドが溜まることが原因なら、両手ともなるはずじゃないの?」と疑問を感じていたというTさん。

施術後の説明の際には、人工透析が全く関係ないとは言えないけれども、それ以外にも手の使い方や姿勢なども影響していることが考えられるので、筋肉の硬さや緊張をとっていくことで改善していく可能性をお伝えすると、少し希望を感じたようでした。

Tさんは、生きがいとも言えるゴルフや、体のメンテナンスがわりのヨガを完全にお休みしていたので、「早く治してゴルフやヨガを再開したい」とおっしゃっていました。できることならすぐにでも練習をしたいというTさんでしたが、まずは日常生活に支障が出ない状態を目標にしましょうとお伝えました。

症状改善までの経過

1週間後の2回目。状態をお伺いすると、初めてうちに来た時の症状の強さを10とした場合、施術を受けた翌日から2日間は、しびれが3まで下がったと言います。その後、7まで戻ったものの、痛みとしびれで朝目覚めることはなくなったことから、Tさんは手術をしなくても改善する可能性があることを実感したようで「手術の予約は一旦取り消します。」と嬉しそうでした。

原因が人工透析によるアミロイドの沈着ではなく、血行不良の可能性が高いという考え方に変わり始めたTさん。それならば、血行促進のために無理ない範囲でゴルフの練習やヨガなどをしてもいいか?と質問されましたが、痛みの強さが1週間の中で10→3→7と乱高下していてまだ不安定な状況なので、まだやらない方がいいとお伝えしました。

ただ、Tさんは1回の治療に5時間かかる人工透析を週に3回行なっており、透析中は全く動けないので体がガチガチに固まってしまう上、透析をした日はお風呂にも入浴できないので、ゴルフもヨガも中断してからは非常に疲れやすくなってしまい、ストレスも溜まってしまう一方だというので、無理のない範囲でのウォーキングをすることになりました。

1週間後、3回目の来院にて。透析のない日はお風呂にしっかり浸かり、ウォーキングを1時間やったところ、週の後半からは痛みが全くなくなったと言います。お風呂やウォーキングをすると血流がよくなる感じもわかったそうで、もう手術をしなくても改善すると確信したTさんは、「一旦通院をストップして自分で取り組んでみたいのですがいいですか?」とおっしゃいました。

必ずしも「痛みがなくなった=治った」という事ではないので、できればある程度安定するまでは施術を受けれると理想的でしたが、週に3度の人工透析の中、なんとか手術を避けたい一心でFMT整体にも毎週通っていたTさん。仕事も家事も溜まってしまい、実はかなり大変だったようです。

ストレスを溜めてしまっては本末転倒なので、継続しての通院は一旦終了としました。そのかわり、今後の過ごし方のアドバイスをしっかりさせていただき、Tさんも、もしもの時はすぐに連絡しますということになりました。

施術家からのコメント

Tさん、手術しなくても治る可能性を実感できて本当に良かったですね。

Tさんのように「手術しかない」と言われて私たちのところに駆け込んで来られる手根管症候群に患者さんはとても多いですが、適切なケアを行うことで改善していく方もまた、少なくありません。

ただ、Tさんの場合は長年透析を行ってきたので、通常の手根管症候群だったら治るものだとしても、透析アミロイドーシスによる手根管症候群はどうなのか?最初はご不安だったと思います。

通常、手根管症候群になる方は圧倒的に女性が多いと言われていますが、透析アミロイドーシスによる手根管症候群は、男女差があまりないのと、透析歴10年以上で3割、20年以上で半数の方に手根管症候群の症状が現れるそうです。

Tさんの場合、透析歴が20年を超えていたので、おそらく透析の影響が大きかったと考えられますが、透析以外の可能性のひとつとして、FMT整体では筋肉の緊張を取っていきました。

施術では症状が出ているところだけではなく全身を診て、血流を促進させ治癒しやすくなる土台を整えていくので、初診の際に症状がない右手に触れたときは「私の症状は左手なのですが、なぜ右側も触るんですか?」とTさんはやや不安そうでしたね。

でも、ご自身で血流の大事さを実感してからは、体を冷やさないようにしたり、同じ姿勢を続けないようにしたりと、積極的に取り組まれたことが症状の改善に繋がり始めたのだと思います。

生きがいとおっしゃっていたゴルフを長く楽しむために、ぜひこれからもケアを続けていただきたいと思います。

最後に・・・

Tさんのように、長年の人工透析による合併症の手根管症候群を始め、腱鞘炎やバネ指、肘や肩周りの痛みで、手立てがなくてお悩みの方は一度ご相談ください。

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