親指の付け根や手首が痛い。また、指が曲がりにくく、グーをすると痛みがある。初めは「そのうち治るだろう」とあまり気にしていなかったが、いつまで経っても良くならない。
整形外科で「腱鞘炎」と診断され、「使いすぎなので湿布を貼って様子を見ましょう」と言われた。
安静にしているとマシになるが、手を使わない訳にはいかない。仕事や家事で手を使うとまた痛みが出てくる。痛みは前より強くなっていて、肘まで痛くなる時もある。自分の手はどうしてしまったのだろう?
そんな不安な気持ちではないでしょうか?
腱鞘炎は、正しい原因に対して適切な対処ができれば、早期に回復していく症状です。もし、あなたが何ヶ月も治療をしているにも関わらず痛みが治らないとしたら、腱鞘炎の原因を正しく理解できていない可能性が高いです。
このページでは、腱鞘炎の原因と腱鞘炎を引き起こしてしまう要因、治すためのポイントをお伝えしていきます。それでは、一緒に確認していきましょう。
1.そもそも腱鞘炎とは?
骨と筋肉をつないでいる腱が、行ったり来たりスムーズに通るように存在する腱鞘が、手首や指の使いすぎによってこすれ合い、炎症を起こしている状態と言われます。
病院などに行き「腱鞘炎」と診断された方の多くは、「使いすぎ」と言われます。しかし、使いすぎだけが腱鞘炎の原因ではないのです。順番に説明していきます。
1-1.腱鞘炎は「使いすぎ」が原因というのは間違い?
腱鞘炎は、手をよく使うお仕事や趣味などをされている方に多いことから、一般的には「使いすぎ」とひとくくりにされてしまうことがあります。あなたも病院や接骨院などでそのように言われたかもしれませんね。でも、腱鞘炎の本当の原因は使いすぎではありません。
FMT整体に来られる患者さんの中には、「腱鞘炎は使いすぎだから、安静にしていれば治る」と言われて、仕事などを工夫したり休んだりして、負担をかけないようにしていたにも関わらず、痛みが改善しなかったリ、一旦良くなっても、また元のように痛みが戻ってしまった、という方が多いです。
さらに、あなたと同じように手を使っている人は他にもたくさんいるのに、あなただけが「使いすぎ」ではないと思いませんか?つまり、使いすぎだけが原因ではないのです。
1-2.痛い場所には原因がない?
腱鞘炎と診断されると、痛みのある場所に湿布を貼ったり、冷やしたりしてしばらく様子を見るように言われることが多いです。そして、それでも改善が無ければ痛み止めの注射などの処置が取られます。そのような処置で一時的に痛みが改善する場合がありますが、また痛みが戻ることが多いです。それは、痛みの出ている場所には原因がないので、根本的な解決になっていないからです。
それでは、何が原因なのか?次の項目で見ていきましょう。
2.腱鞘炎の本当の原因とは?
2-1.腱鞘炎の原因
指や手首の動きはその箇所だけで動いているのではなく、肘までの筋肉をはじめ、腕全体の筋肉が伸びたり縮んだりすることで動いています。この筋肉が何らかの理由で硬くなると、必要以上に腱を引っぱり続ける状態になります。
この状態が続いたまま、色んな動きが加わることで、腱が太くなったり、むくんだりして腱の通り道である腱鞘とこすれるようになります。その結果、炎症が起きるのです。つまり、腱鞘炎の本当の原因は腕の筋肉の硬さなのです。
2-2.腱鞘炎が改善しない理由
もしかすると、すでに「指や手首周辺、腕の筋肉が原因だ」と言われ、ストレッチやマッサージをしているかもしれません。しかし、それでも腱鞘炎が治っていないとしたら、そこには2つの理由が考えられます。
- 筋肉を柔らかくするための治療方法が間違っている
- 筋肉を硬くしてしまう要因が解消されていない(治療してもすぐに筋肉を硬くしてしまう)
それでは、②の「筋肉を硬くしてしまう要因」を説明していきます。
※1番目の治療方法に関しては「手術せずに腱鞘炎を治して思い描く人生を歩むための治療方法」に詳しく書いてありますので、確認してみてください。
3.腕の筋肉を硬くしてしまう3つの要因
あなたと同じように手を使っている人は他にもたくさんいるのに、なぜ、あなただけが腱鞘炎になってしまったのでしょうか?そこには、腱鞘炎になりやすい要因があるはずです。そして、その要因が解消されないと腱鞘炎の回復も思うように進まなくなります。
私たちが多くの腱鞘炎の患者さんを診てきた中で共通していた3つの要因をお伝えします。この要因に気を付けるだけでも腱鞘炎の治りが早くなり、治った後も再発しにくくなります。
要因①同じ動きや姿勢を続けている
腱鞘炎には、主婦の方や子育て中のお母さん、デスクワーク中心のお仕事の方などが多いのですが、このような方は、特に重いものを持ち続けている訳でもないので、手に負担がかかっていないように思います。しかし、繰り返し同じ動きや姿勢を続けていることに問題があるのです。
例えば、お料理や洗濯をする主婦の方は、冷えもある中で、毎日同じ動きを繰り返しています。また子育てでは、お子さんの抱っこを含めて今まで使ったことがない手の使い方で、手指への負担が繰り返されています。さらに、字を書いたり、パソコンのキーボードやマウスの使用、スマホの使用など、手に負担がかかる動きを繰り返したり、長時間同じ姿勢が続く方は腱鞘炎になりやすい傾向にあります。
つまり、一つひとつの動作や姿勢は、大きな負担ではなくても、それらが毎日蓄積された結果、手や腕を含めて、全身の筋肉の緊張状態を作ることにつながり、スムーズに動くはずの腱鞘の中で腱がこすれる状況が繰り返されて、腱自体がむくんだり、太くなって炎症が起こるのです。
同じようなことをやっていてもこまめに姿勢を変えたり、手の力を抜くように心がけている人やケアがきちんと出来ている人は腱鞘炎にはなりにくい傾向があります。
要因②体の使い方のクセ
要因①の同じ動きや姿勢を続けていることにも関係するのですが、腱鞘炎になりやすい方の傾向として、首や肩こりのある方が多いです。
こうした背景には、字を書く際の筆圧が強い、包丁を持つ手に力が入り過ぎているなど、物を持ったり握る時に必要以上に力が入り過ぎていることも関係しています。
さらに、現代は下向きの体勢や前かがみで生活や仕事をすることが多いことも、首や肩、肩甲骨まわりの筋肉が硬くなりやすく、首や肩こり、腰痛にもつながっています。
こうした姿勢や体の使い方のクセがある状態は、腕の筋肉の硬さを生むことにつながります。その結果、日常の様々な動きによって、腱を無理な方向に引っぱったり、腱鞘の中で特定の場所にこすれ合うことが繰り返し起きて炎症を起こすのです。
要因③精神的な緊張状態が続いている
体の筋肉を硬くするのは、動きや使い方だけではありません。例えば、仕事で常にプレッシャーがかかっている、身の回りに心配事がある、いつもイライラしているなど、精神状態(気持ち)の緊張が続いていると、それが体に対しての影響を与え、筋肉の緊張を生んでいる可能性があります。つまり、精神面での緊張が続いていることと体の緊張状態は深い関わりがあるのです。
4.腱鞘炎を根本的に治すポイント
それでは、腱鞘炎を治すためにはどうしたらいいのでしょうか?これまでお伝えしてきた腱鞘炎の原因を踏まえて、腱鞘炎を治すための3つのポイントを紹介します。
4-1.筋肉の緊張を和らげる
腱鞘炎の原因である腕の筋肉の引っ張りをなくして、腱鞘の通りをスムーズにするためには、筋肉を柔らかくすることが必要です。ただし、強いマッサージや無理なストレッチは返って筋肉の緊張を生むことにつながります。筋肉を柔らかくする方法が間違っていると腱鞘炎はなかなか治りません。
4-2.ケア、体の使い方を見直す
腱鞘炎の痛みが治ったからといって、それは完治ではないかもしれません。「3 腕の筋肉を硬くしてしまう3つの要因」でお伝えしたように筋肉を硬くしてしまう要因が残っていると痛みが再発してしまいます。
ですから、日常生活の中にある要因をできるだけ解消して、痛みが治った後もケアを続けていくことが大切になります。FMT整体では、その方の状態に合わせて段階的にセルフケアをお伝えして取り組んでもらっています。
4-3.リラックスする時間を作る
緊張した精神状態は体の緊張につながります。リラックスした時間や心地よいと思う時間こそが、筋肉の緊張が和らいで体が回復に向かう時間なのです。
腱鞘炎の患者さんの中には、何でも一所懸命にやってしまう“がんばり屋さん”が多いです。その状態は、力が抜けた状態を忘れているために、力の抜き方が分からなくなっているのです。
ですので、少しずつリラックスした時間を作り、力が抜けた感覚を体が思い出していくように施術やアドバイスを行うことで、症状の改善につながる方が多いです。
5.腱鞘炎を改善するために今すぐできる3つのこと
腱鞘炎を改善していくためにあなたが今すぐ取り組めることを次の動画で紹介しています。ぜひ腱鞘炎改善の参考にしてください。
6.腱鞘炎は自分の体に向き合うためのチャンス
症状には必ず原因があります。あなたが腱鞘炎になったことも、そしてなかなか治らないことにも原因があるはずです。これまでの習慣を見直し、体も心も整えて、正しいケア方法を学ぶことができたのなら、それは、今まで後回しにしてきた、あなた自身の体に向き合うことになるのです。体が発する症状はあなたへのSOSのサインです。
原因に対して正しく働きかければ必ず症状は回復していきます。大丈夫です。必ず良くなりますよ。