「シーバー病は成長期に起こりやすい痛みだから休めば治るよ。と言われました。」
これは、シーバー病で来院された学生さんの言葉です。しかし、この学生さんは練習を休んでもなかなか良くなりませんでした。
また、ほとんどのシーバー病の患者さんはこう言います。「成長痛だから成長が止まるまで良くならないんでしょ? いろいろ改善方法を試したり、練習を休んでみたけれどダメでした。上手に付き合っていくしかないんだと思っていました。」
病院でシーバー病と診断されると「成長痛だから、しかたがない」と言われる方がほとんどです。しかし、シーバー病は「成長痛」だから成長が止まるまで良くならない、ということはありません。
「成長痛だからしかたがない」とガマンしながらスポーツをしていると、どんどん回復しにくくなってしまいます。
朝、起きた時の痛みは少なくても、無理をしてスポーツをしてしまうと、帰る頃にはかかとの痛みが強くなってしまうお子さんは多くいます。練習ができないことや試合に出れないことへのイライラや、周りに差をつけられてしまうことへの焦りから、痛みをガマンしながらの練習の日々・・・。精神的にも、体の面でも、どんどん追いつめられてしまいます。
ですから、かかとに痛みを感じたときはできるだけ早く痛みをとることが、本人の気持ちの面でも、今後の活躍を目指す上でも大切になります。
このページでは、原因と根本的な治療方法、そして、自分できるケア方法などシーバー病の完治に必要なことのすべてをまとめました。順番に読み進めてくださいね。
シーバー病の症状とは?
シーバー病の症状は、
- 走るとかかとが痛い
- ジャンプをするとかかとが痛い
- かかとを押すと痛い
- アキレス腱、くるぶし周辺にも痛みが出る
などが挙げられます。シーバー病になってしまうと思うようにスポーツができなくなり、ひどくなると日常生活で歩いていても痛みが出る人もいます。
シーバー病は別に「踵骨骨端症(しょうこつこったんしょう)」と呼ばれ、一般的にはかかと付近に起こる成長痛と言われています。この症状は8~12歳ごろの子どもに多く見られる症状なので、「成長期だから仕方がない」と間違えて認識されているのです。
しかし、シーバー病は成長期に多い症状ではありますが、成長が止まるまで待つ必要はありません。
もしシーバー病が成長痛なら、なぜ成長期にあるすべての子どもたちがシーバー病にならないのでしょうか。どうして同じ年代の子たちが、同じチームで、同じ練習をしているにも関わらず、痛くなる子と、痛くならない子がいるのでしょうか。
シーバー病は、「成長」だけが原因ではないのです。
もし、現在あなたのシーバー病がなかなか改善していないとしたら、それには大きく分けて3つの理由があります。正しい原因と治療方法を知り、思いっきりスポーツできるようにしていきましょう。
①シーバー病に対する認識の間違い
病院や整形外科では、「これは成長期の子どもに多い症状だから、痛みと付き合いながら練習してください」とか、「成長が止まれば治るから心配しなくて大丈夫だよ」などと、特に原因も言われずに電気治療やシップで「様子を見てください」と言われてしまった人もいると思います。
ですから、まずは、シーバー病の正しい原因を理解していきましょう。
出典:http://edogawa-jys-sup.jimdo.com/
シーバー病の症状は、主にかかとに痛みが出ますが、アキレス腱やくるぶしの周辺、足裏全体が痛くなる子もいます。
8才から12才の頃は、かかとの骨の後ろ側が軟骨(柔らかい骨)でできています。このかかとの後ろには、ふくらはぎからつながる「アキレス腱」や「足底筋膜(足の裏の筋肉)」をはじめ、たくさんの筋肉がくっついています。
ダッシュやジャンプ運動、トレーニングを繰り返したり、姿勢や動きのクセなどが関係して、ふくらはぎや足の裏の筋肉が硬くなってしまう状態が続くと、筋肉が「ギュッギュッ」とかかとにある柔らかい軟骨を筋肉が引っ張り続けて、痛みが起きます。さらに筋肉の引っ張りが強くなると、柔らかい軟骨がはがれてしまうこともあります。
かかとが痛いので、かかとの骨に異常があるのでは?と不安になりますが、痛みを起こしているのは、かかとの骨ではなく、骨をおおう膜(骨膜)や筋肉などです。
ですから、シーバー病は痛みが出ているかかとだけではなく、かかとにくっついている筋肉の状態を柔らかくしていく必要があります。
ふくらはぎ、足裏の筋肉を柔らかくすることだけがシーバー病を治す方法という思いこみ
多くの病院や治療院では、ふくらはぎの筋肉や足裏の筋肉を柔らかくすることだけがシーバー病を治す方法と考えられているため、マッサージをしたり、ストレッチをするような指導をします。実は、これが認識の間違いなのです。
確かに、このようなマッサージやストレッチ、電気治療、超音波治療、さらに練習を休むことで、痛みが少なくなることはあるかもしれません。しかし、思うようにスポーツが出来るところまでは、なかなか改善されないケースが多いです。
これは、ふくらはぎや足裏の筋肉を柔らかくすることだけがシーバー病を治す方法という一般的な考えにとらわれてしまい、その枠を超えたアプローチ方法ができていないからです。
FMT整体では、ふくらはぎや足首の動きに関係する筋肉も施術をしていきます。これによって停滞していた痛みが改善することが多いです。これには、理由があります。
足のクッション機能が失われている
上の図を見てください。足には歩いたり、走ったりするだけで、体重の何倍もの力が加わっていますが、足のアーチ(土ふまず)で、その力を吸収したり、分散するクッションの役割りをしています。
例えば、足首や足の指の筋肉が硬くなってしまうとこのクッション機能が働きづらい状態になってしまいます。そうすると、足の裏やふくらはぎをいくら柔らかくしても、動くとクッション機能が働かない状態なので足裏やふくらはぎの筋肉が硬くなってしまい痛みが起きてしまいます。
ですから、動いても痛みが出ない状態にするためには、足首や足の指の筋肉など、足のクッション機能に関係する全ての筋肉、さらには、そのお子さんの体の状態に合わせてアプローチしなければ、痛みは完全にとりきれないのです。
また、この筋肉を柔らかくする方法も適切なアプローチである必要があります。具体的には次でお話ししていきます。
②シーバー病に対する治療方法の間違い
もし、あなたが現在の治療を始めてから1か月以上経過していても、少し楽になった程度とか、痛みがあまり変わっていない、むしろひどくなっているというのであれば、おこなっている治療方法が間違っている可能性が高いです。
FMT整体では来院された患者さんから詳細に今まで行なった治療方法を聞きます。それらをまとめると、
(1)ヒールカップ(インソール)
ヒールカップをつけることによって痛みを軽減することはできますが、痛みを引き起こしている筋肉の硬さがとれていないまま痛みがけいげんしてしまうと本来痛くてできないことまでできてしまいます。それがシーバー病の悪化に繋がります。
(2)干渉波・ドップラー波電療法(病院や接骨院でおこなう電気治療)
シーバー病の痛みが強い箇所に強い刺激を加えてしまうとかえって慢性化してしまったり痛みが強くなるという患者さんが多くいらしゃいます。
(3)マッサージ、指圧
筋肉を柔らかくするためにマッサージをする方が多いですが緊張してる筋肉に対して押したり、揉んだりしても筋肉は緩みません。特に刺激が強いマッサージほど症状を悪化させてしまう可能性もあります。
(4)湿布、痛み止め
痛みだけをなくすのであれば有効な場合もありますが、根本的な解決になっていないため運動をすると痛みが戻ってくるということを繰り返す可能性があります。
(5)アイシング(患部を冷やす)
こちらも同様に冷やすことによって神経がマヒをして痛みを感じづらくなりますが治っているわけではありません。痛くなったらアイシングをして冷やすということを繰り返すと慢性化して治りづらくなります。
(6)ストレッチ
ストレッチは筋肉を柔らかくするためには有効ですが、タイミングが大切です。硬くなっている筋肉は上手く伸び縮みができない状態です。その筋肉に対してストレッチは逆効果です。
私たちは、これらの治療方法を否定している訳ではありません。しかし、実際に上記の治療をしていても改善しない方がFMT整体には多く来院されますし、もし今の治療方法で結果が出ていないのであれば、方法を変えてみる必要があると考えています。
現在の治療方法で治らない理由
シーバー病になると、かかとへの衝撃を抑えるためにインソールを使う方が多くいます。しかし、インソールはアーチをサポートしたり、衝撃が軽減することで痛みの緩和はできても、これまでお話したように根本的な痛みの原因(筋肉の引っ張り)を解消することはできないので、動いているうちに痛みが出てきます。ですから、インソールを使い続けても、痛みを完治することは難しいと言えます。
また、一般的には、「ふくらはぎのストレッチをして、筋肉を柔らかくしなさい」と言われます。しかし、柔軟性がない筋肉を無理にストレッチをすることでかかとへの引っぱりをさらに強めてしまい痛みが悪化するケースも少なくありません。
痛みを我慢しならが行うようなマッサージや電気治療、ストレッチは一時的に効いている気がしても、強い刺激で筋肉の組織が壊れてしまうこともあります。
すると体はその壊れた組織を回復する際に、再び壊されることがように、と筋肉をどんどん強く硬くしていきます。ですから、痛みを我慢してマッサージやストレッチを繰り返してきた患者さんほど、筋肉の緊張がより強くなっており、慢性化して改善しづらくなっていることが分かっています。特に痛みのある状態の筋肉に対しての強いマッサージやストレッチはオススメできません。
筋肉を柔らかくしようと思ったら、筋肉の組織などを壊さないように、緊張が起きないように働きかけをして、柔軟にしていく必要があるのです。
そのため、原因は理解していても、その原因に対しての治療方法が間違っていると痛みが改善しないのです。
また、一度、良くなったと思っても練習を再開すると痛みが戻ってしまう患者さんもいます。これは、なぜでしょうか?その理由を次にお話ししていきます。
③痛くない=治ったという間違い
これまでにFMT整体に来院されたシーバー病の患者さんの中には「痛みが治っても、練習をしたら痛みが戻ってしまうんです。」と言われる方も多くいらっしゃいました。
これには理由があります。シーバー病が治ったわけではなく、痛みを感じなくなっただけでシーバー病を引き起こしてしまう要因が解消されていないことが考えられます。
シーバー病は、いきなり痛くなるのものではなく、その子の動き方やクセ、やっている競技、練習環境などによって違いはでてきますが、これまでの習慣の中でシーバー病を引き起こしてしまう要因があったため起きる症状です。その習慣が残っている限り、ふたたび痛みが出てくる可能性が高まります。
ですから、痛くない=治ったというのは間違いです。
では、一体どうしたら根本的な解決ができるのでしょうか?FMT整体が多くのシーバー病の患者さんを診てきた中で、シーバー病の症状を根本的に解消していくための考え方をご紹介します。
シーバー病を改善する3つの治療手順
これまでお話してきたことを踏まえて、シーバー病は正しい原因を理解して、その原因に対して適切な治療をして、再発が起きないような体作りができればきちんと改善します。
具体的にFMT整体では、シーバー病に対して以下のような施術をおこなっていきます。
①かかとの骨を引っ張っている筋肉を柔軟にする
シーバー病の痛みを起こしている、かかとの骨を引っ張っている筋肉を柔軟にしていきます。緊張している(硬くなっている)筋肉は強い刺激を与えるとさらに緊張が強くなってしまうので、痛くない(緊張が起きない)範囲で働きかけをして、柔軟にしていきます。
②お尻~足首、足裏など体全体のつながりの筋肉も柔らかくする
シーバー病は、ふくらはぎや足裏の筋肉の硬さだけでなく、走ったり、ジャンプしたりする動きに関係する筋肉を柔らかくしていく必要があります。ですから、お尻、太もも、ふくらはぎ、スネ、足首、足裏など、その子の状態を見て必要な箇所に働きかけをしていきます。治ったと思って再発してしまうのは、このような関連する筋肉に対しての治療がおろそかになっている可能性があります。
③復帰の方法やご自身でできるセルフケアを伝えます
シーバー病の痛みが軽減されてきたら、ご自身でできるセルフケアもお伝えしていきます。ご自身でもセルフケアを行いながら、施術を受けることでより回復しやすくなります。
また復帰の段階では、必要に応じて、練習環境、練習方法、姿勢なども、具体的にアドバイスしていきます。体の柔軟性が取り戻されると筋肉が硬くなっていたことで起きていた動きの制限やクセなども修正されて、その人に合った本来の体の動きに戻っていくため、練習を休んでいたにもかかわらず、自己ベストが出たりパフォーマンスがアップする選手も少なくありません。
治療を受ける前に今すぐ自分でできることをまとめましたので、以下の動画をご覧ください。
また、参考までにこれまでFMT整体で施術を受けた方の改善例を紹介します。
シーバー病で来院した患者さんの声
シーバー病の回復を妨げる要因
スポーツ指導者の方のシーバー病やスポーツ障害への理解不足が、回復を妨げている場合もあります。
- この子はやる気がない。代わりはいくらでもいる。もっと努力して、やる気のある子にチャンスを与えよう。
- スポーツをしている限り、多少のケガはつきものだ。ガマンしながらでも練習をしないと本当に望む結果は得られない。
シーバー病で苦しんでいる選手たちは決してやる気がないわけではありません。痛みをガマンした練習はその場しのぎであって、長い目で見るとパフォーマンスアップにつながりません。
また本来なら一番の理解者であるはずのご両親までもが、
- 練習をサボりたいから言っているんじゃないか。
- 根性が足りない。そんなことじゃ試合で勝てないぞ。
と考えておられたり、本人までもが、
- 練習を休んだらレギュラーになれない。試合に出たいから黙っていよう。
- どうせ痛みを訴えても、誰も理解してくれないからガマンして練習していよう。
と考えて、痛みをガマンしながら練習するようになると、痛みを慢性化させてしまいます。
しかも、痛みをかばう動作を繰り返すうちに、それがクセになってしまうとパフォーマンスが著しく落ちて、いくら練習をしても上達しにくくなっていきます。これは目先の試合に出ることだけを考えてしまう選手本人には考えが及ばないことで、本来なら周りの大人がブレーキをかけてあげる必要があります。
本当にお子さんのことを考えられる指導者ほど長期的な視点を持っています。選手の可能性をつぶさないようにケガをした機会にケガの回復をすると同時に体のケア方法などを知ることで長く活躍できる選手になっていきます。
保護者の方へ
突然のかかとの痛みは、本人にとっても、お父さん、お母さんにとってもすごく心配だと思います。目に見える外傷があるわけではないので、なかなか他人に痛みを理解してもらえないこともストレスになるでしょう。
だからこそ、シーバー病は、早期に改善したいものです。痛みをガマンしつづけると、全身の筋肉が硬くなり、体がゆがんでしまうだけではなく、痛みをかばった動き方が身についてしまいます。
そうなってしまうと、痛みだけではなく、痛みをかばいつづけることで身についてしまった望ましくないフォームまで修正する必要があります。早ければ早いほうが回復までの時間もかかりません。
大丈夫です。一緒に良くしていきましょう。まずは、1人で悩んでいないで私たちに相談してください。