健康コラム

走るために進化した人体の仕組み① 冷却システム

進化

その他

こんにちは、
FMT整体の三輪です。

僕は高校から大学まで
競歩・長距離走という競技をやってきました。

競技をしていた学生の頃は「いかに早くなるか?」だけを考え、
競歩や長距離走の練習をしていましたが、

施術家になり、人体の勉強をしていると
人間の人体は「長く歩く・走る」ために長い年月をかけて進化してきたことを知り、
競技をやっていた頃とは違った視点で歩く・走ることに興味を持ち始めています。

走ることは脳や体に良い影響があるので今後はこのブログで
少しずつ人間の体の不思議さや走ること(運動)の重要性を伝えていければと思います。
まったく走ったことがない人でも「走ってみようかな」と思ってもらえるかもしれません。

では、今回は、なぜ長く走るために進化したのか?
というところから話を進めていきます。

人間は自然界の中では、とても弱い動物に分類されます。

人間がどんなにウエイトレーニングをしてもゴリラには筋力で勝てませんし、
チンパンジーやオラウータンの腕の筋力は人間の数倍以上とも言われます。

また、足の速さも他の動物に比べて遅いです。
人類最速の男、ウサインボルトは時速38キロと言われていますが、
カバは時速40キロ、キリンは時速50キロで走ります。
チーターは120キロ以上と言われているので人間の4倍のスピードです。

つまり、自然界の中では、筋力も足の速さもないので、
獲物を捕らえることもできないのです。

そこで人間が生き残るために
進化させたのが長く走る能力(持久力)でした。

人間以外の動物は早く走ることはできても、
長く走り続けることはできないのです。

それはなぜかというと、
動物は、長時間走ると自分自身の発生した熱を
コントロールすることができなくなってしまうからです。
そのため、早く走った後は必ず木陰などで休み体の熱を下げます。
(チーターは熱の発生で最大で1kmまでしか走れないと言われています)

しかし、私たち人間は他の動物のように皮膚が毛で覆われておらず、
肌がむき出しの状態になっています。これは、体内の熱を逃がしやすくするためで、
数百万とある汗腺から汗と一緒に熱を放出する冷却システムを持っています。
この冷却システムのおかげで人間は走りながら汗を出し、
体に熱がこもらないようにすることができるので長く走り続けることができるのです。

この体温調節機能を生かして、人間は狩りをしてきました。
最後に以下の動画を見てください。(現代でも狩りをしている民族の動画です)

僕は、狩りと聞くと槍などで獲物を指して仕留めるイメージがあったのですが、
実際は獲物に追いついて槍をさせるほど人間は足が早くないので、
とにかく標的を決めたら、集団で足跡を辿って追いかけ続け、
獲物を休ませないことで体内で熱を上昇させ、動けなくなったところを仕留める。
という狩りだったそうです。

筋力もない、足も早くない人間が長く走るという能力を得るために
体の体毛や汗腺を変化させ、体温調節ができるようになったから
人間は自然界で生き延びてこれたし、それが今の自分の祖先であり、
自分の体にもその機能が残っていると考えるとなんだか感慨深いものがありますね。

現代の社会は、人工知能やAIなど、人間の脳の発達によって急速な環境の変化を遂げていますが、
人間の体は狩猟採取をしていた時と変わらないと言われています。

便利になっていく世の中だからこそ、自分で意識して運動をしていかないと体はどんどん退化してしまい、
体が退化していくと様々な影響を脳に及ぼし、病気や精神疾患などに繋がると言われています。

だからこそ、頭だけに偏らずに私たちの祖先が生き延びるために進化させてきた体の機能を
しっかり使って自分自身の体も進化させていきたいですね。

では、最後に生物の進化論で有名なチャールズ・ダーウィンの言葉で締めたいと思います。

最も強い者が生き残るのではなく、
最も賢い者が生き延びるのでもない。
唯一生き残るのは、変化できる者である。

チャールズ・ダーウィン

この記事を書いた人

三輪 拳

三輪 拳

中学生のとき、オスグッドに悩み、地域の治療院を巡るが1年半治らずFMT整体と出会う。どこに行っても改善しなかった自身の痛みが改善したことに感動し、「自分も将来、困っている人や苦しんでいる人の役に立てる人になりたい」という気持ちを持つようになる。高校では陸上競技をはじめ、山梨学院大学にスカウトで入学するも中退。その後、FMT整体で学び始め、18歳でセラピストデビュー。現在は、FMT整体愛知小牧本院を担当している。