活動日誌

代表就任のご挨拶

柴田友里絵

その他

こんにちは。FMT整体の柴田友里絵です。

この度、ご縁のあった皆さまに代表就任挨拶の手紙を送らせていただきました。
お届けできなかった方もおられましたので、こちらにてご挨拶をさせていただきたく思います。

 


謹啓

本年も早や半分が過ぎますが、ご無沙汰ばかりで心苦しく存じます。
皆様、いかがお過ごしでしょうか。

この度、髙瀬元勝の後任として株式会社慈眼(FMT整体)の代表取締役に就任いたしました、柴田友里絵です。
株式会社慈眼の歴史に限らず、創業者である髙瀬やご縁のあった皆様方と築いてきたこの数十年を思うと、身の引き締まる思いとともに、感慨もひとしおです。

手紙を受け取ってくださったあなたに、少しばかり私の想いをお話させていただきたいと思います。
貴重なお時間を頂戴しますが、最後までお読みいただけますと幸いです。

18歳の春、私はこの世界に足を踏み入れました。
先代の髙瀬から「一生は、寝ている時間と働いている時間がほとんどを占めるんだよ。」と教えられたとき、その現実に衝撃を受けました。突然亡くなった父のこともあり「どんな人生の最期を迎えたいか」とぼんやりと考えていた私にとって、人生の半分以上を占める働くことが「楽しみ」になる。そんな世界があるならばきっと幸せだろう、と考えるようになりました。

最初は、鍼灸専門学校の卒業まで働きながら学ぶことができればと入った、受付アルバイトでした。
そこから始まったFMT整体での私の歴史が今でも続いているのは、周りにいた大人たちが「何のために働くのか?」この問いの答えをそれぞれの人生の中で葛藤しながら模索し、もちろん大変なこともあるけれど、それすらも楽しみながら体現しようとしている。そんな姿を何一つ隠すことなく、目の前で見せてくださったからだと思います。
安易な考えかもしれませんが、「格好いい大人になりたい」と素直に思いました。私も子供たちの将来に希望を与えられる大人になりたい。これが私の小さな目標となり、FMT整体で施術家として活動をスタートさせる大きなきっかけとなったのです。

今でも覚えているのは、施術家として初めてデビューした日のこと。
足の裏が痛い美容師の女性の施術をしました。今の自分の精一杯を出すぞ、と決めた私はできることをやりきりましたが、その方とお会い出来たのはその1回きり。残念ながら2回目の来院はありませんでした。
しかし数年後、1枚のFAXが本院に届きました。あの時の美容師さんからです。「その後、しっかりと回復し、元気で過ごしている」と。私たちを覚えていてくださったこともそうですが、なにより良くなって元気に過ごされているという事実が、とても嬉しかったです。

でも、上手く行くことばかりではありません。
北海道から、はるばる来院してくださった患者さん。好転反応もあってか、1回目の施術後から痛みが増してしまいました。娘さんの家に宿泊しながらの限られた期間の通院だったのと、痛みが増したことへの恐怖も相まって、強い痛みが残ったまま施術は途中で終了。
患者さんを失望させてしまったであろうこと、娘さんのお気持ちや期待に答えられなかったこと、自分の非力さに落ち込みました。そんな体験もこれまで何度もありました。今だったらあの時の患者さんにまた違った施術ができるのかな、願いは叶いませんが、今でもふと思い出しそんなことを考えます。

目の前の患者さんにお会い出来るのはこの1回きりかもしれない。もちろん、施術は魔法ではないので出来ることは限られています。しかしながら、施術を通じてご縁をいただいたこの機会に、私たちはFMT整体として何ができるのか、毎日考えるようになりました。スタッフとも暇さえあれば合言葉のように話をしています。
ここまで、延べ2万人の患者さんの施術をしてきた中で、沢山のことを考え、学ばせていただいたことが今の施術家としての私を作ってくれました。その成長に終わりはないのだと感じます。

私は学生の頃からずっと「人の役に立ちたい」と思いながら過ごしてきました。
でも、その言葉の裏にはいつも「誰かに必要とされたい、認められたい」という本音が隠れていました。年月を重ねるにつれ、がむしゃらに走っていたときには気づけなかった自分をはっきりと認識した日のことは、今でも忘れません。
FMT整体で楽しく働きながらも、時折苦しさが混在するようになり、「自分にしかできないことをやりたい」「自分の役割が欲しい」と、何かに飢えているようなこの感覚は私自身を小さくしていきました。日々の学びの中で成長してきたという矜持を持っていましたが、同時にその限界を感じていたのも事実でした。
悩み、葛藤し、いろいろなことを振り返る中で、FMT整体で学んだ大切なことを思い出しました。

セラピストは職業ではなく、自分自身の在り方だということ。
「人の役に立ちたい、誰かを癒せるようになりたい」そう志を立てたその日からセラピストの道がはじまっていること。
人を癒やすのは技術ではなく、人の存在そのものだということ。

自分の役割は誰かに与えられるものではなく、自分で選択するものなのだと思います。
何をするかの前に、どう在るかによって、結果が変わってしまいます。自分自身がどう在りたいか。そこは自分で選択できるものであることを忘れていた為に、原点を見失っていたのかもしれません。
「私はセラピストで在る。」そう決めました。この想いは、今もこれからも変わることはありません。

こうして今春、代表取締役に就任しました。
株式会社慈眼の理念には「人の痛みや苦しみを抜き、喜びあふれる世界を具現化していく」があります。
これは、一人では成し得ることはできません。セラピストという在り方を持ち、まずは各々が自分自身を癒やし、目の前の大切な人を癒やしていく。そこから広がっていく可能性があると信じています。
FMT整体へ来院してくださる患者様はもちろんのこと、スタッフやご縁がつながる皆様とより良い活動や環境を世の中に作っていくため、まだまだ未熟な組織ではありますが精一杯努めてまいります。

いつも見守ってくださる皆様、FMT整体を応援してくださる皆様、本当にありがとうございます。
引き続き、精進いたします。

皆様には末永いご指導をお願い申し上げ、略儀ながら書中をもってご挨拶とさせていただきます。

謹言

  平成二十九年七月吉日

株式会社慈眼 柴田友里絵

この記事を書いた人

柴田 友里絵

柴田 友里絵

バスケットボール部のマネージャーを務めていた高校時代。さまざまな出来事から当たり前だと思っていた治療法への疑問を感じ、FMT整体へ飛び込む。そこで出会った、原因不明の膝の痛みで「もう手術しかない」と宣告された中学生が、手術せずに改善していく光景に衝撃を受け、弟子入りを決断。「痛みで人生を諦める方を一人でも減らしたい」という思いで通算2万人を超す臨床経験を経て、FMT整体の代表に就任。現在はセラピストとして現場に立ちながら、次世代セラピストの育成、命の不思議や心身のつながり・自然から学ぶ健康法などをテーマに、体感型のセミナーを全国各地で行っている。