症例

20数年来の頭痛の改善経過|70代 女性

頭痛Iさん

片頭痛緊張型頭痛

こんにちは。FMT整体の山極です。

50代のときに発症して以来、20数年以上の頭痛に悩んでこられたIさん(女性・70代)の改善経過です。

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Iさんは、初来院の少し前にFMT整体の通販で頭痛枕を購入しており、大きな変化はないものの、なんとなくいい感じがしたこと、また、当院の治療方針には納得していたので、「枕だけではなく実際に診てもらえば、もっと早く治るのではないか」と思って通院に至りました。

症状・診断

Iさんが頭痛を発症したのは更年期のあたり、50歳前後からです。

最初は月に数回ときどき痛む程度だったのが、少しずつ頻度が増え、いつからかほとんど毎日のように痛んでは薬を飲む生活を続けてきました。

痛むのは朝イチの時もあれば、夕方になって疲れてくると出てきたり、友人と外で会食した後や孫の面倒を見た後など。
緊張型と片頭痛型と両方のタイプをお持ちでした。

Iさんは薬を服用した記録を長年つけており、今年だけでも毎月22〜27錠の痛み止め薬や消炎鎮痛剤を使用していました。

できれば薬を飲みたくないから、仕事が休みの日などは飲まずに寝たりしてやり過ごしていましたが、実際にはほぼ毎日何かしらの症状が現れていました。

治療計画・方針

「頭痛」と一口に言っても、頭だけとか首だけの問題ではない場合が多く(どの症状にも同じことが言えますが)、Iさんの場合も全身いたるところに筋肉の緊張がありました。

その中でも特にガチガチだったのが肩甲骨周辺です。まるで亀の甲羅のように筋肉が円く固まっており、硬い筋肉の中に肩甲骨が埋もれ、触れたくてもその「りんかく」がつかめないほどでした。
関節の可動域もほとんど動きがない状態でした。

介護のお仕事をされているためか両腕の力みも強かったです。それも本人は無自覚でした。長年にわたる上半身の力みぐせが蓄積したのも原因のひとつかもしれません。

また、当然ながらといいますか、頭皮や筋膜も硬かったです。ただ、頭部の組織は首、肩と同じ組織で繋がりあっている部分が多いため、頭だけ柔らかくしても肩甲骨周りが硬いままだと改善も遅く、すぐに戻ってしまうので、まずは肩甲骨周りをしっかりゆるめていきましょうと話しました。

また、頭痛枕をお持ちだったので、首への当て方の確認もしたところ、「自分で思っていた感覚と違ったので、やっぱり直接みてもらって良かった。動画(枕の使用説明)で頭では理解しているものの、それが本当に合っているのかわからないので。」とおっしゃっていました。

症状改善までの経過

週に1回の通院ペースを提案。

2回目の来院時:好転反応か?だるさが出たようだが、はっきりと施術後の効果と言えるかどうかはわからない程度のものだった。頭痛の頻度は相変わらずだが、なんとなくいい感じがするとのこと。

3〜5回目:なんとなく今日はいいかな?と思えば、やっぱりあまり変わっていない、と思うのを交互に繰り返す日々が続く。なんとなくいい感じもするのだが、お薬の量はほとんど変わっていない。

「どのくらいかかりますか?」という質問がしばしばあり、Iさんのもどかしい気持ちが感じられた。Iさん自身、20年以上の症状なので、そんなに早く治るとは思っていないものの、目安だけでも知りたいとのこと。

これまでの頭痛患者さんが改善するまでの平均中央値は出せるけど、人それぞれ症状歴も原因も違うので、平均より早い人も遅い人もいるのが前提とした上で、人の体の細胞の生まれ変わり周期も考えると、3ヶ月くらい、回数にして10回くらいが目安のひとつだとお伝えした。

また、5回目のときに、肩甲骨のしぶとい硬さを自分でも家でケアをしてもらうよう、頭痛枕を応用して行うセルフケアエクササイズも伝えた。

6〜9回目:その後も、薬の量は大きく変わっていないのだが、来られるたびに亀の甲羅のように硬くなっていた筋肉に柔軟性が出てきて、施術で肩甲骨に触れるようになってきた。また関節の可動域も少しずつ改善し始めてきた。

10〜12回目:1週間のうち2〜3日全く痛くないか、痛いなと思ってもその後すぐにおさまり、薬を飲まなくても済む日が明らかに出てきた。同時に辛い日は、2錠飲むこともあるので、「改善してきていると思いたいけど、もう数十年以上痛かったので、まだ不安のほうが強くて油断できない、手放しに喜べないです。」とのこと。

施術では、肩周りが明らかに柔軟性が出てきているので、家でのケアがうまくできている様子。頭部の組織もゆるみやすくなってきていた。入浴の際、頭をお風呂の浴槽内につけて温めることもアドバイス。

13回目:毎月22〜27錠飲んでいた薬が、通い出してから初めて20を切った(17錠)。「これは嬉しいです。やっと一皮向けた気がします。」と初めてIさんの口から希望を感じるお言葉が。

14〜18回目:今までは1週間の中で痛む日のほうが多かったのが、痛まない日のほうが多くなってきた。お薬はまだ飲んでいるが、当初の週平均で5〜7錠だったのが、「多くて」2〜4錠と明らかに変化してきている。

この間、息子の結婚式があり、いつもイベントごとがあるとたちまち頭痛がおきて必ず寝込むのを覚悟していたが、当日は軽い頭痛くらいで済んだことに本人もびっくり。

今年、感染症が流行し、娘夫婦に代わって小学生の孫の面倒もよく見たそうだが、疲れるは疲れるが、必ず起きていた頭痛もさほど起きなくなったし、起きても薬に頼るまでひどくならなくなったとのこと。

19〜22回目:お薬は、さらに新記録更新で、この1ヶ月でトータル14錠で済み、明らかに安定していることを自他共に認められる状態までに回復。

ガチガチだった頭の皮膚や筋膜もずいぶん柔らかくなり、ところどころにしぶとい硬さやハリが残っているのがあらわになってきたので、施術でゆるめていくべき部位もより明確に。

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Iさんは現在も通院中ですが、年内いっぱいは週1ペースで通って、年明けからは相談しながら2週間に1回に馴らしていきましょうと前向きにお話ししています。Iさんも「週1で来ないと不安でしたが、今なら空けても大丈夫な気がします。自信がつきました」とのこと。

施術家からのコメント

最初の10回くらいまで、わかりやすい変化を感じれなかったであろう中、Iさんは本当に根気よく頑張られたと思います。当院では、緊張型頭痛や偏頭痛にはしっかりとしたメカニズムがあり、原因に対して適切にアプローチできれば、必ず良くなっていくものと考えています。

ですが、施術は患者さんとの二人三脚ですから、いくら私たちが「治る」と思っていても、患者さんが私たちを半信半疑でもいいから信じていただけないことには一歩通行ですから、治るはずのものも治りません。

Iさんも最初は不安で仕方なかったし、だめかな〜と何度も諦めそうになったとおっしゃっていました。

でもIさんいわく、

「20数年ものですから、それはそれは今まであちこち色んな治療を試してきました。でも、一向によくならないもので、だからこちらを見つけた時は、ほとんど藁をもすがる思いでした。

あと、なんとか頑張ろうと思えたのは、毎回こちらにくると、私の症状について細かく尋ねてくれて、話を聞いてくださって。整形や病院ではまずそういうことはないものですから。それが気持ちの安心につながっていたと思います。」

と、いい笑顔でそうおっしゃっていました。

途中、気分転換で通っていたフィットネスも行きたいのをこらえ完全に休み、やきもきもしたでしょうが、セルフケアや生活習慣もお伝えしたことは全てきっちりこなされてきたからこその賜物です。

まだ完治ではないですが、当初先行きが全く見えなかったゴールの位置が、少しずつ感じられるようになってきていますね。悪循環からは間違いなく抜けていい循環に乗っていることを私も感じています。引き続き、二人三脚で取り組んでいきましょう!

この記事を書いた人

山極理奈

山極 理奈

ごく普通の会社員だった私がFMT整体と出会ったきっかけは、長年付き合った足底筋膜炎。お坊さんが始めたという整体が大事にしていた「必ず挨拶をすること」という姿勢に感銘を受けた。同時に、自分の健康を自分で整えられるようになりたい、また、家族や友人の役にも立てるかもしれないという思いから、施術家の道へ。現在、横浜センター南院と東京目白院、また訪問施術を担当している。