お医者さんから「このまま良くならなったら手術ですね。」と言われたものの初めてのことで不安な気持ちがある。本当に手術で治るのか?家事や仕事はいつから復帰できるの?後遺症はないのか?考えれば考えるほどさらに不安になってくると思います。
ですから、この記事では、手根管症候群の手術について詳しくお伝えしていきます。手術について詳しく知り、今後の治療の参考にしてください。
1、そもそも手根管症候群とは?
私たちの手首付近には、骨と靭帯に囲まれた「手根管」というトンネルがあります。
手根管の中には指を動かす9本の腱と正中神経1本が通っていて、手の使い過ぎや女性ホルモンの変化や腎疾患などによって、手根管の中を通る腱が太くなったり、むくんだりして、正中神経が圧迫されるため、指などにしびれや痛みが起きると一般的には言われています。
出典:「体の痛み」に耳をすます早わかり事典
2、手根管症候群の手術をする前に知っておきたい4つのこと
一般的に病院での手根管症候群の治療は、
- 痛み止め・ビタミン剤の服用
- 手関節の安静を保つ装具の装着
- ステロイドの注射
などを行い、これらの治療を行っても症状が改善しない場合や親指の筋肉が極端に痩せてくると手術を勧められます。
①手術では何をするのか?
手根管症候群の手術は、局所麻酔をして手根管のトンネルの一部の靭帯を切って正中神経の圧迫を開放するために行います。
出典:手の外科無料相談所
靭帯を切る手術方法は、
①開放術
実際に患部を開いて行う手術。安全に手術を行うことができるが、手をついた時の痛みなど術後に痛みが残ってしまうケースがある。
②鏡視下開放術
内視鏡による手術。手術後の痛みが出にくく、早く復帰できる。しかし、実際に患部を見て行う開放術よりも神経損傷の可能性が高くなる。
※手術後は、神経の癒着を防ぐために水仕事以外は積極的に動かしたり、簡単に行える運動を行います。
②手術することのメリット・デメリット
メリット
- 比較的痛みが少なく手術時間は30分程度と短時間である
- 入院することなく日帰りでき、当日から手を使うことができる
- 鏡視下開放術においては1cm位の2か所の傷で済むので傷口はほとんど目立たない
デメリット
- 術後から手の動作制限ないが、家事などの水を扱うまでには7〜10日程度必要
- 手術の傷の痛みが3〜6ヶ月ほど続く場合がある
- 手術を行なってもしびれが残ることもある
③手術後の合併症について
手術の傷口は小さくて済むのですが、手を広げた際に痛みが出たり皮膚の下が硬くケロイド状なって、ズキズキ・ジクジクしたような痛みやこわばり感が残ってしまう可能性があります。
また、手術中に神経や血管を傷つけ後遺症が現れる場合があったり、鏡視下開放術では靭帯が完全に切れずに再手術を行うケースもあります。
④再発の可能性
術後しばらくの間は良くても、以前の様に家事や仕事を続けるようになったら痛みやしびれが再発したというケースもあります。
お医者さんは手術をする前に「100%治るとは言い切れません。」「治るのは五分五分だよ。」とおっしゃるくらい必ず手術で良くなるとは限りません。
靭帯の切り残りがあったり、術後に神経と周囲組織との癒着で、しびれや痛みなどの症状が出る場合はあります。また、「手術には全く問題ない。」とお医者さんに言われても痛みやしびれがそのまま残る方もいらっしゃいます。
3、まとめ
手根管症候群の手術では、改善する方もいらっしゃいますが、改善しない、または、逆に痛みやしびれが増す方もいらっしゃいます。ですから手術は100%ではないということを前提で手術を行うか?を検討する必要があります。
私たちとしては、今あなたが手術を考えているとしても“最終手段”にしていただきたいと思っています。なぜなら、手術をしなくても手根管症候群は改善する可能性は大いにあるからです。
また、手根管症候群はある日突然起きる症状ではありません。必ず、痺れが出る原因になった「生活習慣の積み重ね」があります。もし、痛みやしびれが一瞬にしてなくなったとしても生活習慣が変わってなければ再発させてしまう可能性があるのです。
そのため、生活習慣を見直しながら、手のしびれを改善していくことで、再発なく手根管症候群を根本的に改善できると考えています。
手根管症候群の治療に関しては、以下の記事で詳しくお伝えしていますのでぜひ、ご覧くださいね。