症例

「手術でも治る可能性は低い」と言われても手根管症候群を回復したTさん

手

手根管症候群

70代のTさんは手根管症候群という症状で、
こちらに来られた患者さんです。

3年前から毎日のように朝起きた時に指先にしびれを感じ、
はじめは寝相が悪いのかと思っていたそうですが、
しびれはどんどん増すようになりました。

しびれはあるものの日常の生活は何とか出来たので、
病院へは行かずしばらく放っていたそうです。

その後1年経ち痛みと指先が思う様に
動かなくなり、

明け方寝ていてもしびれや痛みの辛さで起きたり、
お財布から小銭をつまむことや、
ペットボトルのキャップを開けることが、
困難になってしまいました。

いつもは、家事や仕事を楽しそうにしているのに、
辛そうにしているTさんの姿を見て、
ご主人さんから病院に行くことを勧められ、
一緒に近くの整形外科に行きました。

整形外科では、はっきりとした診断がつかず総合病院を紹介され、
いくつかの検査をした結果、
「手根管症候群」という聞きなれない症状を、
お医者さんから言われました。

更にお医者さんから言われたことは、
「手根管症候群の治療は、薬や注射などで回復を見て、
場合によっては手術をするのですが、
Tさんの場合は、親指の筋肉の痩せ方を見ると
症状が進み過ぎているため、
手術をしても良くなる可能性は低いです。

病院へ来ればきっとよくなる思ってきたのに、
あまりにも予想外のこと何を言われたTさんは、
しばらくわからず、お医者さんの言っていることが
理解できずにいましたが、
その後、目の前が真っ暗になってしまったそうです。

自宅に帰ってきたTさんがあまりにも落ち込んでいるので、
お孫さんがインターネットで手根管症候群について調べてくれて、
こちらを知りました。

Tさんは、半信半疑だったそうですが、
「まずは行ってみよう。」と、ご主人さんと一緒にこちらに来られました。

Tさんの手を見ると、親指の付け根の筋肉がゲッソリやせ落ちていて、
人差し指と親指で輪を作るOKサインを作ることが上手くできません。

「もっと早く病院へ行っていれば良かったのかもしれません。」と、
うつむきながらTさんはおっしゃいました。

手のしびれや痛みは、見た目ではわからず
職場や家庭で中々理解が得られないため、
辛い症状と言えます。

手根管というのは、手首の骨と靭帯で囲まれた
小さなトンネルのことを言います。

そのトンネルの中には、指を動かすための腱と
正中神経という指先に伸びる神経と親指を動かすための
神経が通っています。

手根管という小さなトンネルの中を通っている神経が、
何らかの理由で圧迫されることで、
その先にある指にしびれや痛みを感じるようになります。

また、親指を動かすための神経も圧迫されるので、
脳から命令が神経を通してうまく伝わらず、

親指を動かせなくなり、
やがて筋肉が衰えてやせてしまうことが考えられます。

私たちの所には、Tさんの様に手術での改善が見込まれない方や、
術後もしびれや痛みが引かずに来られる方がいらっしゃいます。

手術は、手根管というトンネルを構成している靭帯を切ることで、
トンネル内の圧迫を開放させ、しびれや痛みの改善を目的としますが、

こちらに来られる患者さんのお話をお伺いすると、
「手術は100%治る保証はありません。」とか、
中には「治る確率は半々です。」とおっしゃられる
お医者さんもいるそうです。

そのことからも、手根管というトンネルだけが、
しびれや痛みを起こしているわけではなく、
手根管の中で起きている圧迫はあくまで結果であり、
原因を対処することで、改善する可能性があることを
多くの患者さんを診てきて感じています。

Tさんが、こちらに通い始めて2回目までは
しびれが軽減することはありませんでしたが、
3回目からしびれが徐々に和らいでいき、
睡眠中は起きることもなく、
朝までぐっすり眠れるようなったそうです。

親指は痩せた状態はそのままでしたが、
しびれが改善したことで、「親指も治るかも。」と思い、
毎週とにかく通ってみようと思ったそうです。

ご家族は、Tさんがやっていた家事や畑仕事を
分担してくださっていたそうです。

9回目に来られたTさんは、施術室に入ってきてすぐに、
「先生!親指の筋肉が盛ってきました。」
指を動かしながら嬉しそうに報告くださいました。

以前の様に、家事や畑仕事を楽しくしている様子をお聞きすると、
こちらまで嬉しくなってしまいます。

Tさんは、とても素直で前向きな方で、
小さな体の変化も感じ取って、私に報告してくれますし、
こちらからお伝えしたセルフケアも
毎日欠かさず楽しんでされていたそうです。

痛みやしびれは、比較的早い段階で改善されるケースがありますが、
親指のやせの場合は少し時間を要す場合があります。

でも、Tさんはあきらめずに体をよくするために頑張られたことが
現在の結果につながったのだと思います。

Tさん、良かったですね。
これからもお体お大事にしてくださいネ。

この記事を書いた人

田中学

田中 学

学生時代に腰を痛め、リハビリではじめたウエイトトレーニングにはまる。トレーナーの資格をとったが、友人の体の痛みを改善できなかったことがきっかけとなり、整体の専門学校で勉強。25年勤務した市役所を退職し、意気揚々とセラピストデビューしたが、半年もしないうちに経営危機に、「もう、だめか。」と思った時、偶然FMT整体に出会い一から学び直す。横浜と東京で6年間セラピストとしての経験を積む。父の脳梗塞を機に実家に戻り、現在、FMT整体長野出張所を担当している。